荷物の運搬を行う簡易リフトの利用は、作業の短縮や効率化などのメリットを現場にもたらすことができます。
しかし、簡易リフトは使い方や管理方法を間違えると、重大な事故につながる可能性もある昇降機です。
事前に簡易リフトを安全に使うための方法を確認し、現場全体に周知しておく必要があるでしょう。
そこで今回は、簡易リフトの安全対策になる8つのポイントを紹介します。
簡易リフトを事故なく使えるように、こちらで安全対策の基本をチェックしてみてください。
簡易リフトの8つの安全対策
簡易リフトの利用時には、以下のような8つの安全対策を実施しておくことがおすすめされます。
安全対策を怠ると、罰則の適用や怪我をした従業員への補償、企業イメージの低下などといったリスクにつながるでしょう。
簡易リフトの安全対策の有無が、企業としての損失を左右することもあるのです。
事前の備えが重要になるので、以下の安全対策を参考に簡易リフトの環境を見直しましょう。
扉の開閉を感知する装置の設置・管理
簡易リフトの安全対策には、扉の開閉を感知する制御装置の設置と管理が欠かせません。
制御装置を取り付けることで、仮に簡易リフトの扉が開いている状態で昇降のスイッチを押しても、かごが動き出すことはありません。
そのため荷物の乗降中にかごが動いて人が挟まれたり、扉が開いた不安定な状態で昇降したりといった危険性を排除できます。
扉の開閉を感知する装置には、扉の開放状態がランプなどで確認できる仕組みが備わっていることもあります。
外部から見て簡易リフトの開閉状態が把握しやすくなる点も、安全対策の一環になるでしょう。
外扉をロックする装置の設置・管理
簡易リフトの外扉をロックする装置も、安全対策のひとつとして機能します。
外壁ロック装置が正常に作動することで、簡易リフトのかごが指定位置に到着するまで、外壁が開かなくなります。
間違って人が侵入してしまうようなことがなくなるため、「降りてくるかごと衝突してしまった」という事故や、「上階から足を踏み外して転落してしまった」という事故を防ぐことが可能です。
かごの停止装置の設置・管理
簡易リフトのかごを正常に停止させる装置の設置と定期的な検査管理も、安全対策につながります。
この装置に不具合があると、かごが正しい位置に収まらずに段差ができてしまい、転倒などの事故を引き起こす可能性があるのです。
使用時の安全性を高めるためにも、かごがきちんと停止するのかを日常的に確認し、装置が問題なく動くことを管理していきましょう。
かごの落下を防止する装置の設置・管理
安全対策の基本として、何らかの理由でかごが落下した際に、途中で緊急停止させる落下防止装置の設置と管理も必要です。
簡易リフトは、地震やワイヤーロープの劣化による破断などによって、想定外の落下が起きる可能性があります。
そのまま床まで落下して衝突することを避けるために、落下防止装置の設置は安全上欠かせなくなっているのです。
昇降路や安全柵などによる転落防止設備の活用
簡易リフトの移動する部分を囲う昇降路と、かごの停止部分への侵入を防ぐための安全柵の設置も、従業員を危険から遠ざける安全対策になります。
昇降路や安全柵がないと、不用意に簡易リフトの作業スペースに入ることができるため、かごとの接触や下層への転落などを未然に防ぐことが可能です。
ファイナルリミットスイッチの設置・管理
ファイナルリミットスイッチの設置と管理も、簡易リフトを正しく使うための安全対策になります。
ファイナルリミットスイッチとは、簡易リフトのかごを停止させる装置に不具合が起きた場合などに、緊急で停止させる装置です。
このファイナルリミットスイッチを含めた2重の安全対策が、簡易リフトの安全性をさらに高めます。
ファイナルリミットスイッチが故障すると、簡易リフトのかごが停止せずに、建物の床や天井に向かって衝突事故を引き起こす可能性があるでしょう。
最終的な安全装置になるため、重点的なメンテナンスが求められます。
定期的な点検を欠かさない
簡易リフトは、クレーン等安全規則によって自主的な定期点検を行うことが求められています。
定期点検を欠かさずに行うこともまた、簡易リフトの安全対策につながるでしょう。
基本的に1月以内に1回程度のペースで定期点検が必要となり、ワイヤーロープやガイドレール、ブレーキや制御装置に異常がないか確かめることになります。
異常が見つかった場合には速やかに交換や修理対応をして、事故につながらないようにしていきましょう。
どんな理由があっても人を乗せない
簡易リフトは荷物専用の昇降機であり、人が乗ることはできません。
そのためどんな理由があっても人が乗ってはいけないことを現場のルールとすることが、安全対策になるのです。
簡易リフトに乗ることが当たり前になってしまうと、どれだけ安全対策を行なっても、利用時の危険性を排除することはできません。
人が乗ることを禁止するステッカーなどを貼って、簡易リフトを利用する人たちの意識を変えることも、結果的には安全対策になります。
まとめ
簡易リフトの安全対策には、上記のようなさまざまな方法が考えられます。
安全対策の内容をひとつひとつ確認することで、現場の簡易リフトに何が必要なのかがわかってくるでしょう。
少しでも事故の確率を減らすためにも、この機会に簡易リフトの使い方と環境を見直してみてください。