小型エレベーター荷物用選びに失敗しないためのポイント

「小型エレベーター」は、通常のエレベーターもホームエレベーターも設置するのが難しい場合、例えば介護施設のような環境で重宝されています。

そんな小型エレベーターを、荷物運搬用に使いたいというニーズもあるでしょうが、その際には注意しなければならないポイントがあります。

そこでこちらでは、小型エレベーターを荷物用に導入する際の注意するべきポイントについて解説します。

小型エレベーターとは?

「小型エレベーター」とは、建築基準法施行令の定めるエレベーターに対する基準の一部を、建設省告示により別の基準で適用できる小規模なエレベーターのことです。

同じようなエレベーターに「ホームエレベーター」がありますが、ホームエレベーターは住戸内でしか利用できませんが、小型エレベーターは利用者がある程度の人数までの施設であれば設置できるという点で異なります。

小型エレベーターを荷物用に用いることの注意点

小型エレベーターは人が乗ることを前提としているため、荷物を載せても問題はありません。

ただし、以下のポイントに注意しないと、荷物運搬用に小型エレベーターを導入してもメリットは薄れてしまうでしょう。

3階か4階程度しか移動できない

小型エレベーターを荷物用に導入したいと考えているのであれば、その建物は3階または4階建てくらいでしか利用できないことを念頭においてください。

これは、小型エレベーターの「昇降工程」の基準が関係します。

小型エレベーターは、建設省告示第1415号によって通常のエレベーターが建築基準法施行令により適用される基準とは別の数値を適用できるようになっています。

その条件として建設省告示においては「昇降工程が10m以下である」と規定されているのです。

建物1階分の高さがどの程度であるかにもよりますが、10m以下となればおおむね建物3階か4階程度に相当するでしょう。

高層階がある建物の場合、全階層にエレベーターが行けない可能性がある点に注意が必要です。

床面積が狭い

小型エレベーターで荷物を運搬しようと考えているのであれば、あまり多くの荷物を一度に運搬できないことを念頭に置く必要があります。

その理由の1つは「小型エレベーターの床面積の規定」です。

前述と同様に、建設省告示第1415号において小型エレベーターは「かごの床面積が1.1㎡以下である」と規定されています。

畳が1畳で約1.62~1.65㎡なので、1畳よりも1~2回りほど狭い計算になります。

寸法で言えば、900㎜×1200㎜=1.08㎡というイメージがわかりやすいでしょう。

本題に戻りますと、要するに小型エレベーターで運ぶことができる荷物は「最小の合計面積が1.1㎡以下でなければならない」ということです。

小型エレベーターのかご床面積の寸法は前述の900㎜×1200㎜前後のサイズが主流なので、おおむね1.3mを超える長さの荷物はエレベーター内に入り切りません。

また、一度に複数の荷物を入れたい場合も、床面積が比較的狭いのであまり多くの荷物を一度に運搬できません。

積載荷重が少ない

一度に多くの荷物を小型エレベーターで運べないことの2つ目の理由は「積載荷重が少ない」ということです。

一般的な小型エレベーターの積載荷重、つまり一度に乗せることのできる重さは最大で約200㎏です。

人であれば3人程度、車いすに座った人+介助人の重さであれば問題なく運べる積載荷重量になります。

しかし、荷物を運ぶとなれば話は違います。

例えば70㎏の人が荷物と一緒に乗ることを想定すれば、一度に130㎏分の荷物しか運ぶことができません。

単体で200㎏を越える荷物は、そもそも乗せられないでしょう。

エレベーターに関する法令についてはこちら

利用シーンを思いうかべてエレベーターを選定する

荷物用にエレベーターを導入するのであれば、小型エレベーター以外の選択肢も考慮するべきです。

人が乗らないのなら選択肢は多い

もし「荷物だけ運べれば良い」つまり人が荷物と一緒に乗ることを想定しないのであれば、荷物専用の昇降機である「ダムウェーター」などもおすすめです。

荷物用のエレベーターやリフトは、荷物用なので人が一緒に乗ることはできませんが、コスパが良く、積載荷重量が一般的に小型エレベーターよりも高く設定されています。

利用シーンに則した選定が重要

最も重要なことは「何が目的でエレベーター等を導入したいと考えているのか」を念頭に置き、それを明確にしたうえでその目的にベストマッチする設備を導入することです。

例えば、人が荷物と一緒に乗ることを想定しているのであれば、荷物専用の設備はマッチしません。

利用する条件は導入先次第であり、どんな条件で利用するかによって最適な選択肢は異なるのです。

そして、メーカーはニーズにベストマッチする選択肢を知っています。

なので、どういった目的・利用シーンを想定しているかを明確にして、それをメーカーに伝えることで、導入するべき最善の選択肢を提示してくれるのです。

まとめ:小型エレベーターがベストマッチの選択肢かどうか念入りに検討

小型エレベーターにもメリットは多いものの、利用シーンによってはデメリットを感じる場面も少なくありません。

本当に小型エレベーターが最適なのかどうかは、どういった目的で利用するかにもよりますので、ニーズを明確に伝えてメーカーに最適な選択肢を提示してもらってください。

エレベーター・昇降機に関する法令・法規一覧

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