エレベーターの事故が起こらないためにできる事前対策とは

さまざまなものを運んでくれるエレベーターは、私たちの生活に欠かせないものとなっています。

しかし、エレベーターはときに重大な事故を引き起こすこともあるため、正しい使い方と管理が求められるでしょう。

こちらではエレベーターの事故が起こらないためにできる、具体的な事前対策を紹介していきます。

エレベーターの事故は今でも起きている?

一時はニュースでエレベーターの事故は頻繁に報道されていたため、近年はその数が減少しているように感じられるかもしれません。

しかし、エレベーター事故はゼロに抑えられているわけではなく、ときには利用者にリスクを及ぼす事故が発生しているのです。

たとえば「一般社団法人日本エレベーター協会」の「事故等報告制度」にある最新の事例を挙げると、2020年2月5日には、東京都府中市の乗用エレベーターのかごが低い位置で停止したために、利用者が段差につまずいて転ぶといった事故が起こりました。

今でも小さな不具合によって、エレベーターでの事故は発生しているのです。

この事故等報告制度は、死亡事故や重傷事故を公表するものであるため、大事に至っていない小さな事故を含めると、その件数はさらに増える可能性があります。

このように今でもエレベーターの事故が発生していることは、きちんと把握しておく必要があるでしょう。

エレベーターの事故が起こらないためにできる事前対策について

エレベーターの事故は、いくつかの事前対策によって防ぐことが可能となっています。

管理者が実施すべき対策を理解し、その義務を果たすことができれば、起こり得る事故をさらに減らしていくことができるのです。

以下では、特に重要となるエレベーター事故防止の事前対策を紹介していきます。

エレベーターの管理者にとっては義務となるものも含まれているので、改めて内容を確認して事故を起こさないためにできることを考えていきましょう。

定期的なメンテナンスを欠かさない

エレベーターの事故を起こさないためには、何よりもメンテナンスを欠かさないことです。

常に安全であることをメンテナンスによって証明し、それを繰り返していくことが、事故を防ぐ1番の事前対策になるでしょう。

エレベーターの管理者は、年に1回の法定検査と、1ヶ月に1回程度の保守点検を行う必要があります。

専門家の知識と技術を用いて定期的にエレベーターの状態を確認し、事故につながる要素を排除することが義務付けられているのです。

こういったメンテナンスの機会を疎かにせず、きちんと対応していくことが、これからのエレベーター事故をなくしていくきっかけになります。

もちろん、法定検査や保守点検だけでなく、日常的な掃除なども事故対策のメンテナンスとなります。

エレベーターの掃除は、チリやホコリを処理してパーツの摩耗を防いだり、損傷部分に素早く気づくきっかけになったりといったメリットがあるのです。

日常的な些細なメンテナンスもまた、エレベーターの事故を防ぐ事前対策になることを、この機会に確認しておきましょう。

セーフティシューの取り付け

エレベーターでの事故を防ぐためには、「セーフティシュー」の取り付けを行うことも必要とされます。

セーフティシューとは、エレベーターのドア部分に設置する安全装置のことです。

エレベーターにギリギリのタイミングで乗り込もうとしたとき、ドアに体や物が挟まってしまったけど、自動でドアが開いたという経験はありませんでしょうか。

それはこのセーフティシューが物体を感知して、ドアが閉まらないように制御した結果なのです。

セーフティシューを導入することで、人や物が挟まる事故に対しての備えをすることができるでしょう。

さらに最近は、赤外線センサーを使ってドア付近の物体を感知する「マルチビームドアセンサー」もエレベーターに備え付けられるようになっています。

実際に挟まれる前に自動でドアが反転するため、より事故が起こりづらくなっているのです。

このような装置を積極的に活用していくことが、ドアに挟まれる事故を防いでいくことにつながります。

戸開走行保護装置の設置

平成21年9月28日以降に設置されたエレベーターには、「戸開走行保護装置」を設置することが義務付けられています。

戸開走行保護装置とは、かごが停止位置から大きく動いた場合や、ドアが閉じる前に昇降が始まった場合に、自動で動きを制止させる装置のことです。

この戸開走行保護装置を設置することで、ドアが開いたままエレベーターが動くといったトラブルを防ぐことができます。

具体的に戸開走行保護装置とは、以下のよう要件を満たすものとして定められています。

・独立した2つのブレーキが備わっている

・かごの移動を感知する装置がある

・通常の制御回路とは別に、独立した制御回路がある

この3つの要素を備えた装置を、戸開走行保護装置として認定しているのです。

地震時管制運転装置の設置

地震への事前対策もまた、エレベーターの事故を減らすための取り組みになります。

たとえば「地震時管制運転装置」を使い、地震の発生を感知して自動停止を行うように備えることが考えられるでしょう。

地震時管制運転装置には、地震の初期微動であるP波を感知して、本震のS波が来る前にエレベーターを最寄りの階に停止させる機能があります。

これによって地震を原因としたエレベーターの閉じ込め事故を防ぎ、安全に避難できるようにしているのです。

その他にも、ロープの絡まりを防止するロープガイドの設置や、つりあい重りの脱落を防止する装置の導入なども、エレベーターにおける地震対策として挙げられます。

利用者への注意喚起も対策のひとつ

エレベーターの事故を防止する事前対策には、利用者に注意喚起を行うことも含まれます。

乗り降りの際に足元を確認することや、ドアの閉まりがけに無理に乗降しないように注意することで、事故につながる行動を抑制できます。

また、地震時管制運転装置や戸開走行保護装置を設置しているエレベーターには、対策を実施していることを表明する安全マークを表示することができます。

このマークを表示しておけば、利用者に「このエレベーターはきちんと安全対策が実施されているんだ」という安心感を与えることができます。

それは万が一の事態に見舞われた場合に、冷静に対応するためのきっかけになるでしょう。

事前対策の一環として、注意喚起や安全対策の表明を行うこともおすすめです。

まとめ

エレベーターの事故を防ぐためには、事前対策への積極的な取り組みが必要とされています。

そのためにはまず具体的にどのような対策があり、何に気をつけていけばいいのかを知る必要があるのです。

こちらを参考に事故を防ぐための事前対策を確認し、今できることを考えてみてください。

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