工場や倉庫向けのエレベーターは、導入後も正しいメンテナンスを行う必要があります。
メンテナンスの必要性を認識し、そのための環境を整えることは、エレベーターを長く安全に使っていくことにつながるでしょう。
そこでこの記事では、工場や倉庫に設置したエレベーターが実施すべきメンテナンス方法を紹介します。この機会にメンテナンス方法を確認しておきましょう。
エレベーターのメンテナンスは義務?
工場や倉庫にあるエレベーターは、設置後も定期的なメンテナンスによる安全管理が求められています。
メンテナンス方法にはいくつかの種類があり、それぞれは建築基準法や労働安全衛生法などの法律によって義務とされているのです。
以下からは、エレベーターに求められるメンテナンス方法の種類を紹介します。
定期検査報告
エレベーターは、建築基準法第12条3項の「定期検査報告」によるメンテナンスが義務付けられています。
半年から1年ごとに定期的に行われるメンテナンスで、結果は対象となる特定行政庁に報告しなければなりません。
電動機、巻上機、ブレーキ、制御盤などのメンテナンスが実施され、正常に作動することを確認します。
検査が滞っていたり、虚偽の検査結果を報告した場合などには、建築基準法第101条によって100万円以下の罰金が課せられます。
保守点検
エレベーターは、定期検査報告以外にも「保守点検」によるメンテナンスが求められます。
保守点検とは、建築基準法第8条によって定められ、使用頻度に応じた定期的なメンテナンスを実施するものです。
だいたい月1回の頻度で行われることが多いですが、遠隔による監視システムと併用することで現場での点検頻度を減らすケースも増えてきています。
保守点検は義務ではなく、あくまで努力規定として定められています。
そのため保守点検によるメンテナンスをしなくても、罰則等は課せられません。
しかし、パーツの劣化や消耗などをいち早く確認するためには、保守点検によるメンテナンスが重要な役割を持ちます。
よって可能な限りは、定期的に保守点検を実施していくことが求められるでしょう。
性能検査
積載量が1トン以上のエレベーターは、労働安全衛生法による「性能検査」を実施する務があります。
一般的に工場や倉庫に設置されるエレベーターは積載量が大きくなりやすいので、こちらの性能検査によるメンテナンスを行うケースが多いでしょう。
積載量1トン以上のエレベーターはこの性能検査を実施して、エレベーター構造規格に適合した証として「検査証」の交付を受け取る必要があります。
この検査証には有効期限があるため、その期限に合わせて再び性能検査を行なって更新しなければなりません。
性能検査と定期検査報告は、どちらか一方を受検するだけで問題ないとされています。
性能検査の対象は「積載量が1トン以上のエレベーター」ですが、定期検査報告の対象は「積載量が1トン以上のエレベーターとホームエレベーターを除く全てのエレベーター」になっているのです。
そのため工場や倉庫で使われる積載量1トン以上のエレベーターでも、重複したメンテナンスは不要となります。
性能検査はエレベーター管理者の義務になり、検査をしない場合には労働安全衛生法第百十九条によって6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。
定期自主検査
上記の性能検査が必要なエレベーターは、クレーン等安全規則によって定められる「定期自主検査」を行うことも求められます。
性能検査とは別に1ヶ月に1回の定期自主検査を行なって、メンテナンスを進めることが必要とされているのです。
ワイヤロープの損傷、ブレーキや制御装置の異常の有無を調べ、安全な状態を保てていることを確認します。
エレベーターのメンテナンス契約は2種類ある?
エレベーターのメンテナンスを行うために企業と契約を結ぶ場合、「フルメンテナンス」と「POG」という2種類からの選択することになります。
それぞれの契約の違いを確認し、適切なメンテナンスが行えるように備えましょう。
フルメンテナンス
フルメンテナンスとは、計画的に部品の効果や修理などを行なって、常にエレベーターを正常な状態にキープする契約になります。
修理や交換が行われても、サービス費用は契約時の費用に含まれているため、決まった予算内でメンテナンスを行うことが可能です。
POG
POGはパーツ・オイル・グリースを意味する言葉で、主に消耗品の交換・補充のみを対象としてメンテナンスする契約です。
エレベーターの安全な利用のために部品交換などの対応が必要とされる場合には、別途費用が求められます。 状況に応じて追加のコストが必要ですが、比較的割安な契約を結びやすいです。
作業者の搭乗が不要な場合は垂直搬送機がおすすめ!
垂直搬送機は、建築基準法や労働安全衛生法の適用から除外されており、法定点検も不要な昇降機です。もちろん、安全に長く使用するためには定期的な自主点検や、メーカーのメンテナンスをおすすめします。
簡易リフトや小荷物專用昇降機などの設置のために、工場や倉庫の改修が大きくが必要な場合や、作業動線が悪くなってしまう可能性がある場合は、垂直搬送機を検討してみるのも一つです。
まとめ
工場・倉庫向けのエレベーターを安全に使っていくには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
メンテナンスの不備は罰則につながる可能性があるので、管理者はきちんと点検内容を理解しておく必要があるでしょう
この機会にどのようなメンテナンス方法があるのかを確認し、常に安全な状態でエレベーターを使えるように備えておいてください。