普段から何気なく利用しているエレベーターですが、どのような仕組みで昇降しているのかご存じでしょうか。 エレベーターは安全かつスムーズに人や荷物を運ぶために、様々な仕組みを活用しています。
そこで今回は、主に使用されているエレベーターの仕組みについてご紹介いたします。どのように昇降しているのかを詳しくご紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
エレベーターの昇降の仕組みについて
エレベーターの昇降の仕組みは、駆動のスタイルによって異なります。 近年、使用されているエレベーターには「ロープ式」と「油圧式」の2種類があり、それぞれに違った仕組みを用いて昇降をしています。
そのため昇降の仕組みを知るためには、エレベーターの種類ごとに確認する必要があります。 次の内容を参考に、それぞれのエレベーターが備えている仕組みをチェックしてみましょう。
ロープ式エレベーター
ロープ式エレベーターは日本で多く取り入れられているエレベーターで、ロープを使ってかごを昇降させます。省エネでの駆動やモーター音の小ささが特長で、現在はほとんどがこの電動モーター式のエレベーターに変わっています。
ロープ式エレベーターの中にも「トランクション式(つるべ式)」と「巻胴式(ドラム式)」という種類があり、こちらでもそれぞれ昇降の仕組みが違います。 各種類の仕組みの違いは、以下の通りです。
トランクション式
トランクション式とは、人を乗せる「かご」と「つりあい重り」をロープでつりあわせて、重量のバランスを取りつつ昇降させるエレベーターです。 現代のエレベーターでは最もポピュラーなスタイルとなり、多くの建物でトランクション式が採用されています。
トランクション式のエレベーターは、機械室の有無によっても仕組みに違いがあります。
機械室ありの場合には、エレベーターの上部に設置した機械室でロープを操作し、昇降を行います。 低層ビル・高層ビルに関わらず使用でき、様々なシーンで活用できる形式になります。
一方で、機械室がないタイプのトランクション式エレベーターは、制御盤を使って昇降を行う仕組みになっています。 荷重がかからない分、昇降路を自由に設置できるというメリットがあります。 建物の上部に機械室のスペースを設ける必要がないため、日影規制などの建築状の問題をパスしやすくなるでしょう。
巻胴式
かごに結んだロープを巻胴(ドラム)を使って巻き取るロープ式エレベーターを、「巻胴式」と呼びます。 かごとつりあわせる重りがない、シンプルな構造であることが特長です。
重りのないため、かごを動かす強い動力が必要になり、ロープが短くて済む低層の建物で利用されることが多いエレベーターになります。
油圧式
「油圧式」とは、油の圧力を利用して昇降させる仕組みを取っているエレベーターです。 油圧パワーユニットや油圧ジャッキといった装置を使って、下からかごを押し上げて動かすスタイルになっています。
機械室を必要としない電動ポンプを用いたその仕組みから、低層での荷物運搬などに使われることが多いです。 油圧式のエレベーターには「直接式」「間接式」「パンタグラフ式」といった種類があり、それぞれの仕組みは次のような違いがあります。
- 直接式:シリンダー内にあるプランジャーが、直接かごの真下に設置されているタイプ
- 間接式:プランジャーの頂部に設置した網車にかけたロープなどを通して、間接的に昇降させるタイプ
- パンタグラフ式:機械室から油圧ジャッキを操作し、アームに取り付けたかごを昇降させるタイプ
油圧式のエレベーターは、上記のようなタイプごとにそれぞれ仕組みが変わってくるので、チェックしておきましょう。
エレベーターの昇降を助けるさまざまな仕組みにも注目
エレベーターの昇降をスムーズにするために、次のような仕組みを採用するケースも増えてきていますので、ご紹介いたします。
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リニアモーター式
近年研究が進められている「リニアモーター式」のエレベーターは、今後注目を集める可能性のある形式です。 回転運動を直線運動へと変換するリニアモーターの仕組みを活用し、スムーズな昇降を行えるのが特長です。
機械室や巻上機を設置しなくても昇降させることが可能となるため、必要スペースをさらに縮小させることができます。
リニアモーター式のエレベーターはまだ発展途上の技術であることから、今後さらにその機能性を高めることに期待されています。
例えば、ロープを使わずに昇降が可能となったり、かごを垂直以外の方向(水平やカーブなど)にも移動させたりできるようになる可能性もあるのです。
将来的には、リニアモーター式もエレベーター設置時の選択肢に入るようになるかもしれません。
スカイロビー方式
スカイロビー方式とは、地上からとある階層でエレベーターを一度止め、そこから別のエレベーターに乗り換えてさらに移動するスタイルの設置方法を指します。 主に高層の建物で採用される構造となり、少ない設置面積で輸送が行えたり、スピーディに高層階まで移動できたりといったメリットが得られるのが特徴です。
スカイロビー方式のような構造を採用することで、エレベーターの機能をさらに効率的に活用できるようになります。 エレベーターそのものの仕組みだけでなく、設置方法を含めた全体的な仕組みに注目することも、導入時のポイントになるでしょう。
まとめ
エレベーターの昇降の仕組みについてご紹介いたしましたがいかがでしたでしょうか。エレベーターの仕組みに合わせて必要な設備などが変わってくるので、エレベーターの導入時にはその仕組みをしっかりと理解しておきましょう。