エレベーターに関する法律は何がある?管理上の必要な諸届けについてご紹介

エレベーターは建物の利便性を高めますが、「管理に関する法律」は無視できません。大きな事故やトラブルに発展させないためには、関連する法律を把握し、それに則って管理・届出などをこなすことが重要です。

そこで今回は、エレベーターに関する法律の内容と、管理上の必要な諸届けについて解説します。エレベーター管理に関するルールをわかりやすく解説しますので、法律などを詳しく知りたい方はぜひ参考にご覧ください。

エレベーターに関する法律①:建築基準法

エレベーターの管理に関する法律の代表格は「建築基準法」です。建築基準法の中でエレベーターの管理に関する内容が定められているのは「第8条」と「第12条」の2つが挙げられます。

建築基準法第8条「維持保全」

建築基準法第8条には、以下の内容が記載されています。

「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。」

「2 次の各号のいずれかに該当する建築物の所有者又は管理者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。ただし、国、都道府県又は建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物については、この限りでない。

一 特殊建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの

二 前号の特殊建築物以外の特殊建築物その他政令で定める建築物で、特定行政庁が指定するもの」

「3 国土交通大臣は、前項各号のいずれかに該当する建築物の所有者又は管理者による同項の準則又は計画の適確な作成に資するため、必要な指針を定めることができる。」

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建築基準法第8条「報告、検査等」

建築基準法第12条には、以下の内容が記載されています。

「第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。」

「2 国、都道府県又は建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する特定建築物の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該特定建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検(当該特定建築物の防火戸その他の前項の政令で定める防火設備についての第四項の点検を除く。)をさせなければならない。ただし、当該特定建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。」

「3 特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

「4 国の機関の長等は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物の特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検をさせなければならない。ただし、当該特定建築設備等(前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。」

「5 特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料若しくは建築設備その他の建築物の部分(以下「建築材料等」という。)の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況又は建築物の敷地、構造若しくは建築設備に関する調査(以下「建築物に関する調査」という。)の状況に関する報告を求めることができる。

一 建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者

二 第七十七条の二十一第一項の指定確認検査機関

三 第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関」

「6 特定行政庁又は建築主事にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者に対し、帳簿、書類その他の物件の提出を求めることができる。」

「7 建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員にあつては第六条第四項、第六条の二第六項、第七条第四項、第七条の三第四項、第九条第一項、第十項若しくは第十三項、第十条第一項から第三項まで、前条第一項又は第九十条の二第一項の規定の施行に必要な限度において、建築監視員にあつては第九条第十項の規定の施行に必要な限度において、当該建築物、建築物の敷地、建築材料等を製造した者の工場、営業所、事務所、倉庫その他の事業場、建築工事場又は建築物に関する調査をした者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、建築材料等の製造に関係がある物件、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件若しくは建築物に関する調査に関係がある物件を検査し、若しくは試験し、又は建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者若しくは建築物に関する調査をした者に対し必要な事項について質問することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。」

「8 特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分並びに第一項及び第三項の規定による報告に係る建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する台帳を整備し、かつ、当該台帳(当該処分及び当該報告に関する書類で国土交通省令で定めるものを含む。)を保存しなければならない。」

「9 前項の台帳の記載事項その他その整備に関し必要な事項及び当該台帳(同項の国土交通省令で定める書類を含む。)の保存期間その他その保存に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。」

e-GOV法令検索 建築基準法

昇降機の維持及び運行の管理に関する指針

建築基準法によるエレベーターの維持および運行の管理に必要な事項を定め、エレベーターの安全を確保することを目的とした「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」が、財団法人日本建築設備・昇降機センターから出されています。

参考:昇降機の維持及び運行の管理に関する指針

次の項目から、それぞれの内容について詳しく説明します(第1:目的・第2:用語の定義・第17:運転者の心得については特に説明することもないので割愛)。

第3:運行管理者の選任

「所有者等は、昇降機の運行を直接管理させるために、昇降機の運行に関して十分な知識を有する運行管理者を原則として建物ごとに選任するものとする。ただし、昇降機の用途、構造及び設置台数その他の状況により管理上支障がない場合は、複数の建物に 1 人とすることができる。」

エレベーターの管理には、エレベーターの運用に関する知識を十分に備えている「運行管理者」の選任が必要です。

原則的に1つの建物に1人の運行管理者の選任が必要なのですが、エレベーターの用途や設置台数などの状況により「管理上支障がない」場合には、複数の建物を1人の運行管理者で管理することが認められています。

第4:運転者の選任

「所有者等は、昇降機の運行に当たり、操作方式その他構造上運転者を必要とする場合又は昇降機の用途及び利用者の利用状況その他の理由により専任の運転者が必要と判断される場合は、運行管理者の意見を聞いて、次の要件を満す者を運転者として選任するものとする。

一 満 18 才以上の者

二 昇降機の運転について必要な知識を有する者」

エレベーターを利用するにあたって、そのエレベーターが「運転者」を必要とする場合があります。

その場合、前述の「運行管理者」の意見を聞いて、「18歳以上+エレベーターの運転に必要な知識を持っている」という条件で運転者を選任します。

第5:運行管理者等の教育

「所有者等は、運行管理者等に対して、当該業務の遂行上必要な、次の教育を行うものとする。

一 昇降機に関する一般知識

二 昇降機に関する法令等の知識

三 昇降機の運行及び取扱いに関する知識

四 火災発生時又は地震発生時に講ずべき措置

五 故障時又は停電時に講ずべき措置

六 人身事故発生時に講ずべき応急措置

七 その他昇降機の安全な運行に必要な事項」

前述の「運転管理者」に対して、エレベーターの所有者または管理者は、エレベーターの管理運行のために必要な教育を行う必要があります。

第6:運行管理規程の作成及び遵守

「所有者等は、運行管理者等が運行の安全確保のために守るべき、次の事項について、運行管理規程を定め遵守するものとする。

一 日常の運行管理に関する事項

二 運行管理日誌の作成及び保存に関する事項

三 定期点検・整備及び修理に関する事項

四 法第12条第3項の規定に基づく定期検査に関する事項

五 事故・故障発生時の措置及び報告に関する事項

六 教育に関する事項」

エレベーターの所有者は、エレベーターの運行管理者などの人が安全を確保するために「運行管理規定」を定め、これを遵守しなければなりません。

4つ目の「法第12条第3項の規定に基づく定期検査に関する事項」の「法」とは「建築基準法第12条3項」のことです。

「3 特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。」

第7:救急体制

「所有者等は、昇降機に係る人身事故が発生した場合、これに適切に対処するため、あらかじめ次の措置を講じ、運行管理者等に熟知させる必要がある。

一 医薬品、担架、梯子等の救急用具を常備し、定置場所を明示すること。

二 救急のための医療機関との連携方法を定めること。

三 専門技術者への連絡方法を定めること。」

エレベーターの所有者は、エレベーターに関係した事故が発生した場合に迅速な救護活動を実施できるようにしなければなりません。

具体的には「医薬品や担架などの救急用具の常備および定置管理」「医療機関との連携方法を決めておく」「専門技術者への連絡方法を決めておく」の3つのルールを定める必要があります。

第8:人身事故発生時の措置

「1 所有者等は、昇降機に係る人身事故等が発生したときは、速やかに次の措置を講じる必要がある。

一 応急手当等必要な措置

二 消防署及び医療機関への連絡

三 被害者の家族への連絡

四 専門技術者への連絡

五 特定行政庁その他関係官公署への連絡」

第7が「事故が起きる前の備え」であるのに対して、この第8は「事故が起きた時の対処法」について定められています。

項目は「応急手当など」「消防署と医療機関への連絡」「事故被害者の家族への連絡」「専門技術者への連絡」「特定行政庁と関係官公署への連絡」の5つです。

「2 所有者等は、前項の事故が発生した場合においては、次のとおり特定行政庁に別記様式により報告するものとする。

一 昇降機事故速報 事故が発生した時から 24 時間以内

二 昇降機事故詳細 事故処理が解決した日から起算して 7 日以内」

この「別記様式」については「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」の末尾に掲載されています。

参考:昇降機の維持及び運行の管理に関する指針

第9:定期検査及び報告

「1 法第12条第3項の規定に基づき指定された昇降機の所有者等は、一年に一回以上、定期に、国土交通大臣の定める資格を有する者(以下「昇降機検査資格者」という。)等に当該昇降機の検査を行わせ、その結果を、昇降機定期検査報告書に作成し、昇降機に関する地域法人等を経由して特定行政庁に報告するものとする。」

エレベーターの所有者は、前述の「建築基準法第12条第3項」の規定に基づいて、年1回以上の頻度でエレベーターを検査する必要があります。

この検査は、国土交通大臣の定める資格を有している人しか行えません。

その結果は報告書を作成して、エレベーターに関する地域法人などを経由して特定行政庁に報告する必要があります。

「2 所有者等は、前項の昇降機定期検査報告書の写しを3年以上保存するものとする。」

1項で定めた「検査報告書」の写しを、エレベーターの所有者は3年以上保存する必要があります。

10:定期検査報告済証の掲示

「所有者等は、昇降機ごとに、第9の定期検査の報告を証明する「定期検査報告済証」を、エレベーターにあっては、かご内の見やすい位置に、エスカレーター又は小荷物専用昇降機にあっては、見やすい適切な位置に掲示するものとする。」

エレベーターの所有者は、エレベーターごとに前述の検査結果報告書の内容を証明する「定期検査報告済証」を掲示しなければなりません。掲示場所は、エレベーターのかご内の見やすい位置である必要があります。

第11:標識の掲示等

「所有者等は、昇降機ごとの見やすい適切な位置に、必要な次の標識の掲示等を行うものとする。

一 一般エレベーター

(イ)用途、積載荷重、定員及び禁煙

(ロ)利用方法及び非常連絡装置の使用方法

(ハ)荷物専用のものにあっては、荷扱い者以外の人の搭乗禁止

二 非常用エレベーター

(イ)用途(非常用)、積載量、定員及び禁煙

(ロ)利用方法及び非常連絡装置の使用方法

(ハ)避難階における避難経路その他必要な事項

三 エスカレーター

(イ)正しい乗り方

(ロ)必要に応じ、利用者に注意を促す放送等

四 小荷物専用昇降機

(イ)人の搭乗禁止

(ロ)積載量」

エレベーターの所有者は、エレベーターごとに見やすい位置に「標識」を掲示しなければなりません。「標識」の内容ついては上記の通りです。

第12:定期点検・整備等

「1 所有者等は、昇降機の維持及び運行の安全を確保するため、使用頻度等に応じて専門技術者に、おおむね 1 月以内ごとに、点検その他必要な整備又は補修を行わせるものとする。」

エレベーターの所有者は、エレベーターの維持・運行の安全確保のために1か月以内ごとに点検・整備・補修などを行う必要があります。

この作業は使用頻度に応じて行われますが、実施は専門技術者の手によって行われることが必要です。

「2 所有者等は、前項の点検等を行った場合は、その記録を3年以上保存すること。」

上記の定期点検等の記録は、3年以上保存しなければなりません。

第13:防火管理

「所有者等は、危険物の規制に関する政令等に準拠し、油圧エレベーターに関し防火管理上必要な事項を定めるとともに防火管理の万全を期すものとする。」

「危険物の規制に関する政令」とは、消防法第三章の規定に基づいて制定された政令です。

参考:e-GOV法令検索 危険物の規制に関する政令

「油圧エレベーター」の運用には、防火管理に必要な事項の決定および万全な防火管理を必要とします。

第14:巡回管理

「1 運行管理者は、昇降機の運行中随時巡回し、運行に支障が無いことを確認するものとする。」

エレベーターの運行管理者は、エレベーターが動いている間は随時巡回を行い、エレベーターの運行に支障がないことを確認しなければなりません。

「2 運行管理者は、前項において昇降機の運行に支障があると認めたときは、直ちに運行を中止して所有者等に報告し、専門技術者に整備させるものとする。」

巡回等でエレベーターに問題があると判断したら「エレベーターの利用中止」「所有者への報告」「専門技術者による修理」を実施しなければなりません。

第15:災害発生時又は停電時の措置

「運行管理者は、災害発生時又は停電時には、次の措置を講じるものとする。

一 地震又は火災が発生したときは、直ちにかご内の人を誘導避難させ、その後電源を切り、

運行を中止すること。ただし、非常用エレベーターで非常用として使用する場合はこの限

りでない。

二 前号により運行を中止した昇降機については、専門技術者に連絡し運行再開前に点検及び試運転を行うこと。

三 運行管理者は、利用者がエレベーターのかご内に閉じ込められたときは、かごを移動す

ることなく戸を開くことにより、安全に救出できる場合を除き、専門技術者に救出させること。ただし、火災等の緊急時はこの限りでない。」

エレベーターの運行管理者は、地震などの災害や停電が発生した場合に適切な対応をする必要があります。

具体的には「内部の人の避難誘導」「エレベーターの電源を切って運行を中止する(非常用を除く)」「専門技術者による点検及び試運転」が規定されています。

内部の人を救出する際には、火災発生時などの緊急時など一部のケースを除き、専門技術者による救出が基本です。

第16:鍵等の管理

「1 運行管理者は、昇降機の機械室、操作盤等の鍵及び乗場の戸の非常解錠用鍵を関係者以外の者に使用又は管理させないこと。」

エレベーターの運行管理者は、「エレベーターの機械室」「エレベーターの操作盤」「エレベーターのドアの非常開錠用」の鍵について、関係者以外に使用・管理させてはいけません。

「2 前項の鍵の他、モーターハンドル、ブレーキ開放レバー等の非常用器具は、保管場所を定めて厳重に保管し、非常時の使用に支障のないようにすること。」

上記の鍵も、厳重な保管と、非常時に問題なく使える状態を保つことが義務付けられています。

労働安全衛生法

「積載荷重が1トン以上のエレベーター」については「労働安全衛生法」によって性能検査が義務付けられています。

参考:安全情報センター 労働安全衛生法

労働安全衛生法 第5章第1節 機械等に関する規制(検査証の有効期間等)

エレベーターの管理に関する条文は「労働安全衛生法第41条」に記されています。

「第41条 検査証の有効期間(次項の規定により検査証の有効期間が更新されたときにあっては、当該更新された検査証の有効期間)は、特定機械等の種類に応じて、厚生労働省令で定める期間とする。」

「2 検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録性能検査機関」という。)が行う性能検査を受けなければならない。」

クレーン等安全規則

労働安全衛生法の規定に基づき、これを実施するために「クレーン等安全規則」が定められています。

  1. ~153条において「使用及び就業」が、154条~158条において「定期自主検査等」が、159条~162条において「性能検査」が規定されています。

参考:クレーン等安全規則 第5章 エレベーター

定期的に自主検査(点検)を行い、その結果を記録して保存する必要があります。

クレーン等安全規則第144条(検査証の有効期間)

「エレベーター検査証の有効期間は、一年とする。」

労働安全衛生法第41条1項にある「検査証の有効期間」については、「クレーン等安全規則第144条」によって定められています。

これにより、エレベーターには年1回の性能検査が義務付けられています。

クレーン等安全規則第155条(定期自主検査)

「事業者は、エレベーターについては、一月以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行なわなければならない。ただし、一月をこえる期間使用しないエレベーターの当該使用しない期間においては、この限りでない。

一  フアイナルリミツトスイツチ、非常止めその他の安全装置、ブレーキ及び制御装置の異常の有無

二  ワイヤロープの損傷の有無

三  ガイドレールの状態

四  屋外に設置されているエレベーターにあつては、ガイロープを緊結している部分の異常の有無」

「2  事業者は、前項ただし書のエレベーターについては、その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事項について自主検査を行なわなければならない。」

前述の年1回の性能検査とは別に、クレーン等安全規則において「1か月以内に1回の頻度での定期的な自主検査」が義務付けられています。

エレベーターの管理において必要な届出

エレベーターの管理上、以下の3つの届出が必要になります。これらは「クレーン等安全規則」の163条~171条において規定されています。

参考:クレーン等安全規則 第5章 エレベーター

変更届

エレベーターの所有者または管理者は、エレベーターの修理を行う場合や、所有者やビル名が変更になった場合に、所轄行政庁にその変更について届出を提出する必要があります。

休止届

エレベーターの所有者または管理者は、地方自治体が定める期間エレベーターを休止させる場合に、所轄行政庁へ休止について届出を提出する必要があります。

廃止届

エレベーターの所有者または管理者は、エレベーターを撤去または廃止する場合に、所轄行政庁へ廃止について届出を提出する必要があります。

まとめ:法律に則ってエレベーターを運用

エレベーターの管理に関する法律等は、以下の中からエレベーター関連の内容を押さえておく必要があります。

  • 建築基準法
  • 昇降機の維持及び運行の管理に関する指針
  • 労働安全衛生法
  • クレーン等安全規則

無用なトラブルを避けるためには、その内容を把握して遵守しなければなりません。また、諸手続きに問題があってもトラブルの原因になりますから、届出が必要になったら適切なタイミングで届出を済ませましょう。

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