フォークリフト操縦時にヘルメット着用が義務なのか?

作業現場では安全確保のためにさまざまな工夫をしますが、中には面倒だ、とか鬱陶しいと思うような行動もあるかもしれません。

夏の暑い時期に「ヘルメット」を着用するのは、なかなか鬱陶しいと思うでしょう。しかしながら、作業現場においては使用する機器などに関わる法律などの関係で、ヘルメット着用などの安全対策が義務化されていることもあります。

そこでこちらでは、フォークリフト操縦時にヘルメット着用が義務なのかどうかについて解説します。

フォークリフト操縦時にはヘルメット(保護帽)着用が必要

結論から述べると、フォークリフトを操縦するにあたっては、ヘルメット(保護帽)を着用することが規定されています。

ヘルメット着用の根拠

フォークリフトにおけるヘルメット着用の根拠は「昭 50.4.10 基発第 218 号 『荷役、運搬機械の安全対策について』」において規定されている内容があります。

「最近における労働災害は、全体として減少の傾向をたどっているが、その中においてコンベヤ、フォークリフト、ショベルローダ、移動式クレーン、ダンプトラックその他の荷役運搬機械(以下「荷役・運搬機械」という)によるものは、依然として減少をみていない状況にある。このような現状にかんがみ、これら荷役・運搬機械を使用する作業における安全確保については、この際総合的な対策を推進する必要がある。ついては、荷役・運搬機械を構内で使用する事業場に対する監督指導にあたっては、法令に定めるもののほか、当面下記の事項に留意のうえ、これらの機械による労働災害の防止に万全を期せられたい。」

(9) 保護具の着用

関係労働者に、保護帽、安全靴等の保護具を着用させること。

昭 50.4.10 基発第 218 号「荷役、運搬機械の安全対策について」

対象として「フォークリフト」が含まれている内容において、関係労働者における保護帽などの保護具の着用が規定されています。使用者にとっては重さなどがデメリットになりがちですが、面倒がらずに装着し、監督責任者はフォークリフト使用にあたって労働者がヘルメットを着用していなければ速やかに是正しなければなりません。

保護帽とは?

前項において、フォークリフトの関係労働者における「保護帽の着用義務」について解説しましたが、この「保護帽」の定義についても理解しておく必要があります。

参考:日本安全衛生情報センター「保護帽の規格」

安全かつ快適なフォークリフト使用時のヘルメット着用のための知識

フォークリフト使用時には基準を満たしたヘルメットを着用しなければなりませんが、「安全」や「快適さ」を無視しては従業員の危険を招く結果になりかねません。

そこで、安全性や快適性など、ヘルメット着用に関するさまざまな知識について触れておきましょう。

適切な買い替え時期

ヘルメットに何らかの破損や異常が見られれば、すぐにでも買い替えを検討するべきですが、そうでなくても耐用年数の見込みを経過すれば買い替えを検討してください。一般社団法人「日本ヘルメット工業会」では「保護帽の取扱いマニュアル」を公表しており、その中にヘルメットの買い替え時期について言及されています。

⑨ 試用期間が長い保護帽は使用しないでください。特に帽体の材質を確かめて、ABS、PC、PE等の熱可塑性樹脂製の保護帽は、異常が認められなくても使用開始から3年以内、FRP等の熱硬化性樹脂製の保護帽は5年以内に交換してください。

⑩ 着装体は衛生面も考慮して1年位で交換してください。構成される部品に劣化、異常が認められた場合は直ちに交換してください。(着装体を交換するときは、同一メーカーの同一型式の部品を使用してください。)

日本ヘルメット工業会「保護帽の取扱いマニュアル」

夏の暑さ対策ができるヘルメットはあるのか?

冒頭でも触れていますが、夏の暑い時期にヘルメットを装着するのはストレスを感じると思います。メーカーによっては暑さ対策ができているヘルメットも販売していますので、夏用のヘルメットとして常備しておくことをおすすめします。

ヘルメットが脱げてしまう

ヘルメットのサイズが装着者の頭のサイズに合っていないことも考えられますが、往々にしてヘルメットが脱げやすいのは「装着方法が間違っている」ことが原因であると考えられます。

ただし、適切な装着方法を実践できていても、外部からの衝撃などによりズレることは考えられるでしょう。ズレている状態や脱げやすい状態では適切に安全対策することはできませんので、ズレ防止機能など安全対策がしっかりしているヘルメットを用意することをおすすめします。

ヘルメットを着用しないとどうなる?

言うまでもないことですが、安全確保のために着用するべきとされているヘルメットを着用しなければ、労働者はいざという時に危険にさらされます。例えば「上方から荷物が落下した」「何らかの衝撃で運転席から落ちてしまった」といった場合に、頭部を強打して最悪の場合は死に至るでしょう。

ヘルメットを着用したからと言って、万物あらゆる危険から身を守れるわけではありませんが、着用時と非着用時ではケガや命に対するリスクが大幅に異なります。

まとめ:フォークリフトはヘルメットをかぶって使用すること

フォークリフトは重い荷物を搬送するのに適した便利な道具ですが、使用者のちょっとしたミスが大事故につながる可能性は否定できません。ヘルメットの着用は、そんな「いざという時」のケガや命の危険を最小限に抑えるために欠かせない安全器具であり、面倒さや鬱陶しさを感じるとしても確実に着用してフォークリフトを使用してください。

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