物流センターとは?種類別の特徴や代表的な機能を徹底解説!

国民の暮らしを支えている物流は、日本経済における「血液」と表現されるほど重要な要素です。そんな物流の中核とも言える「物流センター」には、目的に応じて種類が分かれていますが、全てを理解できているケースは少ないのではないでしょうか。

そこで本記事では、物流センターの基礎知識を振り返るとともに、種類別の特徴や代表的な機能について解説します。なお、よく混同されがちな物流倉庫との違いや、物流センターにおける業務の流れについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

物流センターとは

物流センターとは、物流における高度な機能を有した物流倉庫のことを指します。具体的な機能としては「保管」「輸送」「荷役」「包装」「流通加工」などが該当し、物流のハブとなる役割があります。

なお、物流センターでは、倉庫管理システムや配送管理システムなど、管理業務もシステム運用および構築されているケースが多い傾向にあります。そのため、より効率的な運用を実現しているのも大きな特徴と言えるでしょう。

物流センターの種類

物流センターには、大きく分けて以下の4種類があります。

・TC(トランスファーセンター)

・DC(ディストリビューションセンター)

・PDC(プロセスディストリビューションセンター)

・FC(フルフィルメントセンター)

これらは物流の基本とも言える内容になるため、必ず理解しておきましょう。では、ここからはそれぞれの物流センターが持つ特徴について解説します。

TC(トランスファーセンター)

TC(トランスファーセンター)は、別名で「通過型センター」とも呼ばれている物流センターです。その名の通り、荷物や商品を保管することはないため、在庫を持たない物流センターになります。

コンビニや大型の量販店が設置しているケースが多く、入荷した商品はそのまま仕分けを行い出荷します。なお、各店舗からきた出荷指示に基づいて「発注」「検品」「出荷」を行い、店舗別に仕分けを行うことから「クロスドックセンター」と呼ばれていることもあります。

DC(ディストリビューションセンター)

DC(ディストリビューションセンター)は、別名で「在庫型センター」とも呼ばれている物流センターです。TCとは違って商品を保管しているため、DCでは緊急出荷にも対応することも可能です。

主にメーカーや卸売り関連で多く採用されているケースが多く、顧客からの出荷指示に合わせて検品や梱包、流通加工を行い出荷します。なお、TCと比べて保管機能を有する必要があるため、物流センターを構築する際の導入設備が大がかりになる傾向にあります。

PDC(プロセスディストリビューションセンター)

PDC(プロセスディストリビューションセンター)は、別名で「流通加工・在庫型センター」とも呼ばれている物流センターです。通常の在庫型センターであるDC機能に、流通加工機能を加えている物流センターといえます。

主に鮮魚や精肉加工に部品製造加工で多く採用されており、倉庫と工場の機能が合わさっている施設です。一方で、現場環境に合わせて防塵設備や温度管理設備を導入する必要があるため、生産ラインの構築コストや労働力が必要になるケースが多い傾向にあります。

FC(フルフィルメントセンター)

FC(フルフィルメントセンター)は、ネット通販が普及したことで普及している物流センターです。主に、商品管理やピッキング、配送などを行う拠点で、ユーザーからの発注依頼があった際、迅速に対応するための専用拠点です。

そのため、FCでは適切な在庫管理や受発注業務、顧客管理に返品対応、クレーム処理に決済対応など、通販事業の運営で重要なオペレーションを担っています。

物流センターの代表的な機能とは?

物流センターでは、大きく分けると「保管」「輸送」「荷役」「包装」「流通加工」の計5つの機能で構成されています。これらは「物流5大機能」とも呼ばれており、物流センターにおいて非常に重要なオペレーションとなっています。

では、これら物流5大機能は「それぞれどのような特徴があるのか」を詳しく解説します。

輸送

輸送とは、取り扱っている商品を生産者や供給者からユーザーへ、移動させるプロセスのことを指します。この輸送には、トラックや鉄道などの「陸送」や、船を活用した「海運」、飛行機を活用した「空輸」に分かれています。

また、輸送する範囲や距離によって配送と呼ばれている場合や、運搬と呼称されているケースもあります。輸送は納期やコストにも直結するプロセスになるため、効率化が重要といえる機能のひとつです。

保管

保管とは、物流センター内で商品を保管する機能のことを指します。ただ商品を保管するというわけではなく、ユーザーとの受発注バランスを取る役割があるため、適切な在庫管理をしなければなりません。

また、取り扱っている商品によっては温度管理や湿度管理など、商品の品質低下を防ぐ保管方法が求められるケースもあります。なお、近年では、商品を適切に管理するため、バーコードやICタグを活用した保管方法が多い傾向にあります。

荷役

荷役とは、物流センターにて商品を取り扱う作業の総称を指します。なお、主な荷役作業としては、物流センターに到着した商品の積卸作業や運搬、積付けや入出庫、仕分けにピッキング作業などが該当します。

物流工程の中でも、非常にコストがかかりやすいプロセスのひとつです。そのため、各物流センターでは、フォークリフトや自動搬送ロボット、自動ピッキングシステムと言ったマテハン機器を活用しつつ、業務効率化を図ることが一般的です。

包装

包装とは、取り扱う商品が破損して商品価値が毀損しないようにするためのプロセスです。なお、きちんと包装することによって、輸送時にも商品管理がしやすくなるメリットもあります。

また、包装は目的によっても機能性が異なり、輸送を目的にした包装のことを「輸送包装」と呼んでいるケースもあります。多くの物流センターでは、商品をより安全に取り扱うため、専用の物流包装機器などを導入しているのが一般的です。

流通加工

流通加工は、流通工程の中で商品価値を高めることを指し、主に物流センター内で商品加工をするプロセスのことを言います。例えば、生鮮食品の加工や、繊維関連の二次加工も流通加工に当たります。

なお、流通加工にはさまざまな作業が該当し、ラッピングや値札付け、袋詰めに詰め替え作業なども流通加工の一部です。商品の生産工場としての役割があるため、ユーザーに商品を届ける上で、非常に重要なプロセスと言えるでしょう。

物流センターと物流倉庫の違いとは?

物流センター以外にも「物流倉庫」と呼ばれている施設があります。非常に似た名称の施設ではありますが、これら二つの施設では目的や機能性が明確に分かれていることを理解しておきましょう。

まず、物流センターについては、ここまでに解説した通り物流の「五大機能」を持つ施設になります。一方、物流倉庫は「保管」を目的にしている施設という点が大きく異なってきます。

物流倉庫は出荷体制を整えるための保管施設になるため、基本的に商品が入荷してから出荷するまで、きちんとした品質管理で保管管理する目的で運用するのが一般的です。

物流センターの業務の流れ

物流センターにおける業務の流れは以下の通りです。

①入荷

②保管

③流通加工

④梱包

⑤出荷

仕入れ先から入荷した商品は、検品を行った上で仕分けをします。その後、指定された保管場所に商品を移動して、出荷指示があるまで適切に商品を保管します。

次に出荷指示がきた段階でピッキングを行い、値札の取り付けなど流通加工を実施します。その後、検品を経て商品の包装を行った上で、指定された納品先に商品は出荷されます。

まとめ

物流センターは「保管」「輸送」「荷役」「包装」「流通加工」の機能を有する物流拠点です。なお、物流センターには、TCやDC、PDCにFCといった具合で、運用目的別に4つの種類があります。

一般的な物流倉庫とは違い、物流センターでは高度な機能性を持っているため、多様な運用形態があります。自社運用やアウトソーシングに関わらず、今回解説した知識を元に、業務効率を図れる運用を目指しましょう。

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