倉庫業法とは?物流業者が押さえておくべき倉庫業のポイントを解説

事業には、それぞれの事業ごとにさまざまな法律による規制があります。

倉庫業にも「倉庫業法」と呼ばれる法律があり、物流業者として最低限把握しておくべきポイントがいくつかあるのです。

そこでこちらでは、物流業者が押さえておくべき倉庫業法のポイントについて解説します。

倉庫業法の全文は、こちらでご確認ください。

e-GOV法令検索 倉庫業法

倉庫業法とは?

「倉庫業法」とは、倉庫業の適性な運営のためのルールについて定めており、倉庫を利用する顧客の利益を守るための法律です。

・倉庫業法第一条 

この法律は、倉庫業の適正な運営を確保し、倉庫の利用者の利益を保護するとともに、倉荷証券の円滑な流通を確保することを目的とする。

倉庫業法の対象となる倉庫の定義

倉庫業法の対象となる「倉庫」とは、いわゆる「営業倉庫」であり、事業として他人の荷物を保管する目的で使われる倉庫が対象となります。

逆に、「他人の荷物を預かるけれど、それ自体を事業としていない目的で使われる倉庫」は、倉庫業法の対象となりません(例えば、クリーニング業者が顧客の衣類を一時預かりするケースなど)。

・倉庫業法第二条2 

この法律で「倉庫業」とは、寄託を受けた物品の倉庫における保管(保護預りその他の営業に付随して行われる保管又は携帯品の一時預りその他の比較的短期間に限り行われる保管であって、保管する物品の種類、保管の態様、保管期間等からみて第六条第一項第四号の基準に適合する施設又は設備を有する倉庫において行うことが必要でないと認められるものとして政令で定めるものを除く。)を行う営業をいう。

倉庫業法で特に重要なポイント

物流業に携わる方は、最低でも以下の条文とその意味する内容について把握しておく必要があります。

倉庫業は「登録が必要な事業」である

倉庫業を営むためには、国土交通大臣による許可が必要です。

・倉庫業法第三条 

倉庫業を営もうとする者は、国土交通大臣の行う登録を受けなければならない。

いくつかの条件に合致する場合、倉庫業を営むための許可を得ることができません。

・倉庫業法第六条 

国土交通大臣は、第四条の規定による登録の申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を拒否しなければならない。

一 申請者が一年以上の懲役又は禁錮この刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者であるとき。

二 申請者が第二十一条の規定による登録の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者であるとき。

三 申請者が法人である場合において、その役員が前二号のいずれかに該当する者であるとき。

四 倉庫の施設又は設備が倉庫の種類に応じて国土交通省令で定める基準に適合しないとき。

五 第十一条の規定による倉庫管理主任者を確実に選任すると認められないとき。

倉庫業には「倉庫寄託約款」が必要である

倉庫業を始めるためには「倉庫寄託約款」を定め、これを国土交通大臣に届け出る必要があります。

・倉庫業法第八条 

倉庫業者は、倉庫寄託約款を定め、その実施前に、国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも同様とする。

利用料金等の提示が必要である

倉庫業を営むにあたり、保管料や倉庫寄託約款などの情報について、利用者が見やすい場所に提示する必要があります。

・倉庫業法第九条 

倉庫業者は、国土交通省令で定めるところにより、保管料その他の料金(消費者から収受するものに限る。)、倉庫寄託約款、倉庫の種類その他の事項を営業所その他の事業所において利用者に見やすいように掲示しておかなければならない。

倉庫管理主任者の選任が必要である

倉庫業を営むにあたって「倉庫管理主任者」を選任しなければなりません。

・倉庫業法第十一条 

倉庫業者は、倉庫ごとに、管理すべき倉庫の規模その他の国土交通省令で定める基準に従って、倉庫の適切な管理に必要な知識及び能力を有するものとして国土交通省令で定める要件を備える倉庫管理主任者を選任して、倉庫における火災の防止その他の国土交通省令で定める倉庫の管理に関する業務を行わせなければならない。

名義に関する注意点

倉庫業を営むにあたり、倉庫業者としての名義を他人に貸し与えることは禁止されています。

・倉庫業法第十六条 

倉庫業者は、その名義を他人に倉庫業のため利用させてはならない。

2 倉庫業者は、事業の貸渡しその他いかなる方法をもつてするかを問わず、倉庫業を他人にその名において経営させてはならない。

ただし、倉庫事業を他人・他社に譲渡することは可能です。

・倉庫業法第十七条 

倉庫業者(発券倉庫業者を除く。)が当該倉庫業の全部又は一部を譲渡したときは、譲受人は、倉庫業者の地位を承継する。

2 倉庫業者(発券倉庫業者を除く。)たる法人の合併又は分割(当該倉庫業の全部又は一部を承継させるものに限る。)があつたときは、合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人又は分割により当該倉庫業の全部若しくは一部を承継した法人は、倉庫業者の地位を承継する。

3 前二項の規定により倉庫業者の地位を承継した者は、その承継の日から三十日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

まとめ:倉庫業法を守ることで適切な倉庫業を継続できる

倉庫業法は、倉庫業を営むにあたって必ず守らなければならないルールです。

いかなる法律も「知らなかった」では済まされません。

倉庫業その他の物流業に携わる方は、倉庫業の基本的な部分は最低限把握しておき、自身の事業を滞りなく進められるようにしておきましょう。

最新情報をチェックしよう!