どんな道具や設備も、いつかは必ず壊れて使えなくなってしまいます。
責任者は、設備についてのおおよその耐用年数を把握し、適切な使用方法を遵守することによって安全に使用し続けることにつながるのです。
そこでこちらでは、簡易リフトの耐用年数について解説します。
簡易リフトの耐用年数の目安
簡易リフトの耐用年数は製品ごとに異なりますが、おおよそ15年~20年とされています。
なお、「計画耐用年数」は25年であるため、簡易リフトの耐用年数・寿命はおおよそ20年前後であると考えてよいでしょう。
簡易リフトを長く使い続けるためには?
寿命が20年前後であるとはいえ、それはあくまでも「目安」に過ぎません。
使い方次第ではそれ以上に長く使い続けられるかもしれませんし、逆に短い期間で寿命を迎える簡易リフトもあるでしょう。
では、少しでも長く、安全に簡易リフトを使い続けるためにできることは何なのでしょうか?
適切な運用方法を遵守する
簡易リフトを長持ちさせる方法は「適切な運用方法を遵守する」ことです。
この手の搬送装置には必ず「積載荷重」が決められています。
要するに「何kgまでなら積んでもOK」という指標です。
例えば積載荷重が500㎏なら、550㎏や600㎏のように積載荷重以上に積んで稼働させるのは危険であり、事故や故障の原因となります。
仮に、日常的に積載荷重をオーバーした使い方をしても壊れずに使い続けられているとしても、少なからず簡易リフトには負荷がかかり続け、最終的には短い生涯を終えることになるでしょう。
また、簡易リフトは「人が乗って運転してはいけない」というルールもあります。
実際、「違法エレベーター(法律上エレベーターとしての扱いをきちんと受けていないもの)」による死亡事故も起きており、ルールに則った運用方法を遵守しなければどのようなトラブルや大事故につながるかわかりません。
定期的にメンテナンスを行う
簡易リフトを長持ちさせる2つ目のコツは「定期的なメンテナンス」です。
簡易リフトは「クレーン等安全規則」などのルールによって、1か月に1度および1年に1度の頻度で自主点検をしなければなりません。
簡易リフトはエレベーターと比較して何かと運用方法は緩めのルール設定になっているものの、重い荷物を積んで高所まで上下移動する設備ですから、きちんとメンテナンスしなければ長持ちしません。
また、定期的にメンテナンスすることにより事故につながるような問題をいち早く把握し、適切な対処を事前に施すことができます。
加えて、定期メンテナンス時の他にも通常運行時や操業前点検などで違和感があれば、担当者に連絡して必要に応じて使用中止、速やかにメンテナンス担当者に簡易リフトを見てもらう必要があるのです。
耐用年数を1つの目安とする
使い方などの条件次第では耐用年数の目安である20年前後の期間を超えて現役で働くことができる簡易リフトもあるでしょう。
しかし、20年前後という耐用年数の数字は、1つの「目安」として把握しておくことをおすすめします。
どれだけ大切に扱っても経年劣化は避けられない
端的に言えば、簡易リフトは、いつかは壊れて使えなくなってしまいます。
それは、どれだけ大切に扱っていたとしても避けられません。
最大の問題は「経年劣化」です。
使用されている金属や樹脂のパーツは、時間の経過とともに容赦なくパーツの耐久性を悪くします。
経年劣化を少しでも軽減することは、適切な運用と定期メンテナンス。パーツの交換により可能ではありますが、交換できないパーツは設置後の時間経過により徐々に劣化してしまうのです。
問題がなくても交換の目安になる
簡易リフトの20年前後という耐用年数の目安は、「交換する時期の目安」としても使えます。
仮に、運用上何も問題を感じていないとしても、目に見えない疲労の蓄積により、大事故の一歩手前の状況で運用している状態であるという可能性は否定できません。
20年前後という長い期間、しっかりと使い続けられたのだとすれば、導入時に投入した費用とランニングコストに見合う仕事はきっちりとこなしてくれたはずです。
耐用年数が経過するタイミングを1つの交換時期の目安として考えておくと良いでしょう。
簡易リフトの法定耐用年数
簡易リフトの「法定耐用年数」は17年です。
法定耐用年数とは、各資産の「減価償却」の際に基準となる年数であり、実際の耐用年数・寿命とは直接的に関りはなく、法定耐用年数を超過しても(機能的に問題がなければ)継続使用できます。
まとめ:簡易リフトの耐用年数は20年前後、長く安全に使うためには適切な運用を
簡易リフトは、製品や使用環境にもよりますが、おおよそ20年前後の耐用年数があるとされています。
ただし、いくら大切に使用しても人工物はいつか壊れるもの、適切な運用をしていても経年劣化は避けられませんからいつかは使用するのが危険な状態になるでしょう。
運用時は適切な使用法と定期的なメンテナンスを実施し、技術者が「これはもう使えない」と判断したら速やかに使用を中止しましょう。簡易リフトではなく、法的に安心な垂直搬送機を導入するという選択肢もございます。