「倉庫」では、数多くの品物を扱いますので、自然と人手を多く用いることになります。
しかし、人手にも限界がありますし、動線次第では必要な荷物を用意するのに多くの時間がかかって非効率的な作業が生まれる事もあるでしょう。
そこでこちらでは、倉庫内の動線改善や省人化に貢献する可能性がある「可動式ラック」の特徴や導入するメリットについて解説します。
可動式ラックとは?
「可動式ラック」とは、文字通り動かすことができるラックのことです。
規模の小さなものはキャスター付きの中型ラックですが、倉庫で用いるとなればレール式で安定感のある大型ラックが利便性を確保できるでしょう。
「移動ラック」「移動棚」「可動ラック」などの呼び方がありますが、いずれの呼び方にしても「固定式ラック」の正反対の性質を持っていると考えるとわかりやすいでしょう。
可動式ラックの種類
一口に可動式ラックといっても「どのように動かすか?」によって、大きく分けて3つのタイプがあります。
手動式
「手動式」は、人の手によって動かすことができる、最もシンプルな構造の可動式ラックです。
設置コストも3つの中で安くなりやすいですが、大型のラックを人の手で動かすということで、移動完了に必要な時間が最もかかりやすいという点に注意しなければなりません。
また、人の手で動かせる重量には限りがあるので、重い荷物を大量に保管するラックとしては活躍を期待できないでしょう。
ハンドル式
「ハンドル式」は、ハンドルを回すことでラックを移動させる構造の可動式ラックです。
図書館や書庫などの保管棚としてイメージしやすいでしょうか?
複数のラックを同時に動かすことができるため、作業効率が向上します。
ただし、こちらの移動式ラックも、必要な移動スペースを可動させるために必要な時間が多くなりやすいです。
電動式
「電動式」は、機械制御でラックを移動させるタイプの可動式ラックです。
他のタイプと比較して移動にかかる時間が短く、多くの品物を収納したラックの移動において利便性が高くなりやすいでしょう。
ただし、他のタイプと比較すると設置コストが高額になりやすいため、大規模な倉庫では設備投資に相応の予算を組まなければなりません。
可動式ラックを導入するメリット
可動式ラックを自社の倉庫に導入することにより、以下のようなメリットを享受できます。
同じスペースで収容量を増やせる
可動式ラックは、倉庫内のスペースを有効活用し、収容量を増やすことにつながります。
ラックを動かせることにより、必要な作業スペースを十分に確保しつつ、倉庫内への品物の収容を最適化して同じスペースで多くの品物を収容できるようになるのです。
例えば2つある倉庫の品物を可動式ラックを備えた倉庫1つにすべて収容し、空いた倉庫は別の品物用の倉庫として活用したり、荷物が増えないなら別の作業用スペースとして流用するといった活用法があります。
必要に応じて簡単に動線を改善できる
可動式ラックは、業務上必要な収容方法の変更における、動線の最適化に寄与します。
倉庫は広く、広さに応じて数多くの品物を収容し、必要に応じて品物を出し入れしますが、最適化された動線に基づいた収容方法を変更しなければならなくなることもあるでしょう。
例えば、出入り口付近にある品物は出し入れがスムーズですが、何らかの理由で倉庫の奥に収容している品物の出し入れを頻繁に行うことがあるとします。
可能な限り出入り口付近にその品物を置きたいところですが、あまり頻繁に収容スペースを変更することは業務効率を悪化させることにつながるでしょう。
可動式ラックであれば、収容している品物を動かすことなく、ラックごと移動して作業動線を改善できるのです。
倉庫管理の省人化につながる
可動式ラックにより限りあるスペースを効率化することに成功すれば、倉庫管理に必要な人での省人化につながる可能性があります。
例えば2つある稼働中の倉庫の収容物を、可動式ラックを備えた倉庫1つに収容しきることができれば、2つ分の倉庫管理に必要な人手が倉庫1つ分で済みます。
作業自体の効率化だけでなく、倉庫管理を省人化することにより、人手不足に悩んでいる会社であれば特にその恩恵を受けられるでしょう。
ラック移動時の事故防止につながる
可動式ラックを活用することで、ラック移動中の転倒事故などを防ぐことができます。
固定式ラックを移動しなければならない場合、どうしても大掛かりな作業が必要になり、事故のリスクを高めてしまいます。
可動式ラックは移動させることを前提に作られているため、移動させても事故のリスクをそれほど高めません。
レール上という移動制限はありますが、作業動線等を意識して可動式ラックを設置すればその問題も解消されるでしょう。
まとめ:可動式ラックは作業効率を高める
可動式ラックを導入することにより、倉庫の操業効率を高めることにつながり、人件費の削減や安全性の確保などのメリットを享受できます。
可動式ラックを自社の倉庫に導入したいと考えている場合、可動式ラックに強いメーカー・業者と相談し、そのメリットを最大化できるような導入方法を実現してください。