簡易リフトは法定点検は必要?安全に使用するために点検を行おう

機材や設備を安全に使用するためには、定期的なメンテナンス作業が欠かせません。

そして、工場や倉庫などで使用される機材や設備は、関連する法律によってメンテナンスの義務がある、つまり「法定点検」が規定されていることもあるのです。

そこでこちらでは、「簡易リフト」に法定点検があるのかどうか、安全に使用するためにはどうすれば良いのかについて解説します。

そもそも「簡易リフト」とは?

「簡易リフト」とは、労働安全衛生法関連規則によって規定されている「荷物専用」の昇降機のことです。

荷物専用なので、人が乗ることは禁止されています。

法律の規定では、簡易リフトはかごの大きさが「床面積1㎡以下」または「高さ1.2m以下」のサイズである必要があります(両方ともサイズオーバーしているものは「エレベーター」)。

簡易リフトの法定点検と根拠法令

簡易リフトの法定点検、つまり関連法に基づいて義務付けられているメンテナンスの規定は、「クレーン等安全規則」の第208条および第209条が該当します。

クレーン等安全規則 第208条

「クレーン等安全規則第208条」では、「年1回」「定期的に」という条件で簡易リフトの自主点検(メンテナンス)をするように規定されています。

条文は以下のとおりです。

第二百八条 

事業者は、簡易リフトを設置した後、一年以内ごとに一回、定期に、当該簡易リフトについて自主検査を行なわなければならない。ただし、一年をこえる期間使用しない簡易リフトの当該使用しない期間においては、この限りでない。

2  事業者は、前項ただし書の簡易リフトについては、その使用を再び開始する際に、自主検査を行なわなければならない。

3  事業者は、前二項の自主検査においては、荷重試験を行なわなければならない。

4  前項の荷重試験は、簡易リフトに積載荷重に相当する荷重の荷をのせて、昇降の作動を定格速度により行なうものとする。

上記の条文をかみ砕いて説明すると、以下の内容になります。

・簡易リフトは1年以内の頻度で定期的に自主点検しなければならない

・ただし、1年以上使わない簡易リフトはその限りではない

・1年以上使わなかった簡易リフトを再使用する際には自主点検しなければならない

・この自主点検は「荷重試験」を行う

・この荷重試験は「簡易リフトに積載荷重相当の重さを乗せて」「定格速度で動かして」行う必要がある

クレーン等安全規則 第209条

「クレーン等安全規則第209条」では、「月1回」「定期的に」という条件で簡易リフトの自主点検(メンテナンス)をするように規定されています。

条文は以下のとおりです。

第二百九条 

事業者は、簡易リフトについては、一月以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行なわなければならない。ただし、一月をこえる期間使用しない簡易リフトの当該使用しない期間においては、この限りでない。

  一  巻過防止装置その他の安全装置、ブレーキ及び制御装置の異常の有無

  二  ワイヤロープの損傷の有無

  三  ガイドレールの状態

2  事業者は、前項ただし書の簡易リフトについては、その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事項について自主検査を行なわなければならない。

上記の条文をかみ砕いて説明すると、以下の内容になります。

・簡易リフトは1か月以内の頻度で定期的に自主点検しなければならない

・ただし、1か月以上使わない簡易リフトはその限りではない

・1か月以上使わなかった簡易リフトを再使用する際には自主点検しなければならない

・自主検査する項目は「巻過防止装置」「安全装置」「ブレーキ」「制御装置」の異常の有無と「ワイヤーロープ」の損傷の有無、それに「ガイドレール」の状態確認

簡易リフトを安全に利用するためには?

簡易リフトを安全に利用するためには「異常を無視しない」ことと「正しく利用する」事の2つが重要です。

異常があれば無視せず速やかに点検を行う

簡易リフトに関して、何らかの異常を発見したら速やかに使用を中止し、点検を行ってください。

法定点検についてはすでに解説していますが、これらの点検の間に異常が発生することは十分に考えられます。

以上の種類・程度によっては重大な事故の発生につながるものも含まれますので、事故を未然に防ぐためには異常を感知したらすぐに点検を行うことが重要です。

H3 「人が乗る」などのルールを無視した使い方をしない

簡易リフトの使用方法にはさまざまなルールがありますが、そのルールを無視した使い方をしてはいけません。

ルール無視の使用法は要するに危険な行為であり、故障・事故の発生リスクを高めます。

例えば人が乗ってはいけない簡易リフトに人を乗せて動かす(点検時以外)ことは絶対に避けなければなりません。

作業の利便性などを考えるとどうしてもルール外の使用法をしてみたくなるかもしれませんが、仮に一度試して問題なかったとしてもルールを守って簡易リフトを使用してください。

まとめ:法定点検を忘れずに簡易リフトを運用

簡易リフトは法定点検が規定されており、定期的なメンテナンスの実施は欠かせません。

また、安全な使用法を継続することも、事故や故障のリスクを抑えるために重要なことです。

簡易リフトで重大な事故が発生した事例は決して珍しくありません。

トラブルの発生を回避するためには、適切な法定点検と安全な使用法の継続を心がけましょう。

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