フォークリフトはリーチ式とカウンター式に分かれており、それぞれに取り付けられているタイヤの種類は異なってきます。そのため、フォークリフトタイヤをメンテナンスする場合、どのような種類があるのか事前にチェックしておかなければなりません。
そこでここからは、フォークリフトタイヤの種類をリーチ式とカウンター式別に解説します。また、タイヤ交換の時期や選び方、注意点なども併せて解説しますので、タイヤ交換を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
フォークリフトタイヤとは?
荷物の積み下ろし作業や運搬で用いられているフォークリフトには、走行するためのタイヤが取り付けられています。なお、フォークリフトの種類によっても許容荷重は変動しますが、一般的なサイズでも2tを超えるタイプが多い傾向にあります。
フォークリフトタイヤは、これらの加重にも耐えられるように設計されています。ただし、フォークリフトを安全に使用するためには、自動車と同様にメンテナンスが欠かせないことは理解しておきましょう。
リーチ式フォークリフトの種類
リーチ式フォークリフトの場合、部位別にローラーの種類が異なってくるため、タイヤ構成を理解しておかなければなりません。また、タイヤの材質によっても種類が異なるため、それぞれの特徴を把握する必要があります。
そこでここからは、リーチ式フォークリフトのタイヤ構成と種類について解説します。
部位別【ロード・ドライブ・キャスター】
リーチ式フォークリフトに取り付けられているタイヤは、以下の3種類となります。
・ロードタイヤ
・ドライブタイヤ
・キャスタータイヤ
ロードタイヤについては、車体フロントで左右に1本ずつ装着されている前輪タイヤです。一方のドライブタイヤは、後輪の左側に取り付けられている駆動輪に当たるタイヤで、反対側に取り付けられている後輪の右側が、補助タイヤの役割を持つキャスタータイヤになります。
タイヤの材質【ウレタン・黒ゴム】
リーチ式フォークリフトでは、主に以下の材質のタイヤが使用されています。
・ウレタン
・黒ゴム(溝あり・溝なし)
ウレタン材質のタイヤは、耐摩耗性や耐荷重能力に優れているのが特徴です。黒ゴムタイヤについては、クッション性がありグリップ力に優れているため、滑りやすい路面で使用するケースにも向いています。
また、タイヤ痕が目立たないゴムカラーなどのバリエーションもあるため、食品加工や薬品、自動車工場でも多く採用されている特徴があります。
カウンター式フォークリフトのタイヤ種類
カウンター式フォークリフトの場合、リーチ式よりも強度が高いタイヤが取り付けられています。なお、代表的な種類は、エアータイヤとエアボスタイヤ、ノーパンクタイヤの3種類になります。
では、これらカウンター式フォークリフトに装着する3種類のタイヤについて、ここからは詳しく解説します。
エアータイヤ【ニューマチックタイヤ】
カウンター式フォークリフトの標準的なタイヤとなるのが、エアータイヤ(ニューマチックタイヤ)です。金額が安価な部類のタイヤになるため、導入やメンテナンスもしやすいメリットがあります。
また、弾力性が高く軽いタイヤになるため、運転操作も非常に簡単で乗り心地が良いタイヤです。ただし、空気圧を調整する必要があり、メンテナンスを怠るとバーストの危険性もあるため、利用する際には注意しなければなりません。
ノーパンクタイヤ【ユニークタイヤ】
空気を充填するタイプのエアータイヤとは違い、ノーパンクタイヤ(ユニークタイヤ)はタイヤの内部に空気が入っていないため、タイヤがパンクする心配がないです。また、空気を必要としていない構造のため、空気圧調整のメンテナンス作業も必要ありません。
ただし、エアータイヤよりも金額が高くなってしまうほか、クッション性がないため乗り心地が良くないデメリットもあります。なお、タイヤ内部もゴムでできているため、質量が増えてしまい燃費にも影響が出るケースもあります。
エアボスタイヤ【穴あきタイヤ】
エアボスタイヤとは、ノーパンクタイヤの実用性とエアータイヤの乗り心地性能を合わせたようなタイヤです。主な構造としては、ノーパンクタイヤのように全体がゴムで作られており、側面に穴を開けることで衝撃吸収や軽量化を図っています。
そのため、ノーパンクタイヤよりも格段に乗り心地が向上しているため、オペレーターの疲労低減にもつながります。ただし、性能が向上している分、通常のタイヤよりは高価になってしまうデメリットがあります。
フォークリフトタイヤの交換時期
フォークリフトタイヤは消耗品になるため、適切な時期に交換をしなければなりません。では、どのようなタイミングで交換をしなければならないかと言えば、自動車のタイヤと同様にスリップサインを目安にしましょう。
フォークリフトタイヤは使用することで徐々に薄くなっていくため、使用限界のラインまで到達したら交換することをおすすめします。なお、交換せずに放置した場合、スリップが発生するなど、予期せぬ事故が起きる可能性もあるため、適切なメンテナンスを実施してください。
フォークリフトタイヤの選び方
フォークリフトのタイヤを選ぶ際には、路面状況に応じて適した種類を選定しましょう。例えば、リーチ式の場合、倉庫内のきれいな路面を走行する場合、ウレタンタイヤがおすすめです。一方で、倉庫外も走行する場合、黒ゴムタイヤを選定するのが適しています。
カウンター式については、路面状況が悪く走行距離が長い現場の作業は、クッション性の高いエアータイヤがおすすめです。ただし、くぎや金属片などパンクしやすい物が路面にある場合については、ノーパンクタイヤやエンボスタイヤを選定しましょう。
フォークリフトタイヤの注意点
フォークリフトタイヤは、空気圧やタイヤ痕、変形などに気を付けなければなりません。また、より快適な状態を長く維持するためには、メンテナンスも重要と言えるでしょう。
そこでここからは、フォークリフトタイヤを取り扱う際の注意点について詳しく解説します。
タイヤの空気圧
一般的な自動車の場合、タイヤの空気圧は2kPa程度です。一方で、フォークリフトのエアータイヤの場合、重量車両と同様の8kPa前後と、非常に高い空気圧を確保しなければなりません。
適切な空気圧が確保されていない場合、走行に支障が出てしまうことはもちろんのこと、乗り心地やタイヤ自体の痛みにもつながるため、正常な空気圧を確保するようにしましょう。
タイヤ痕
工場など屋内でフォークリフトを使用する場合、タイヤ痕が床に付いてしまいます。一度付いてしまったタイヤ痕については、簡単に落とすことができないため、あらかじめタイヤ痕対策をするようにしましょう。
例えば、加速時の制御を行うトラクションコントロールが採用されているフォークリフトや、カラータイヤを採用することによってタイヤ痕対策になります。
タイヤの変形
フォークリフトは非常に重量のある車両になるため、車両を放置すると自重が原因でタイヤが変形してしまいます。一度変形したタイヤについては、元通りに戻ることはないため注意しましょう。
長期間使用しない状況が続く場合、事前にタイヤを取り外すことで変形を防げるため、利用状況に応じて対策しましょう。
定期点検の実施
自社の敷地内で利用するフォークリフトは、メンテナンスが行き届かないケースもあります。しかし、フォークリフトタイヤなどは日々劣化していくため、定期的なメンテナンスを実施しなければなりません。
特にタイヤはスリップの原因にもなるため、事故が発生することも考えられます。以上のことからも、1ヵ月ごとの定期点検を実施するなど、メンテナンス体制を確立させましょう。
まとめ
フォークリフトはリーチ式とカウンター式で分かれているため、それぞれに適したタイヤを選定しましょう。なお、フォークリフトを利用している現場の路面状況に合わせてタイヤを選ぶことが重要です。
また、安全にフォークリフトを操作するためにも、空気圧やタイヤの変形には注意してください。月に1回は定期点検を行うことで、予期せぬ事故をふせげるため、適切なメンテナンスを実施しましょう。
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