工場・倉庫に欠かせない荷物用エレベーターとは?

工場や倉庫では、操業中に数多くの荷物を運ぶ必要があります。

施設の構造によっては、階層をまたいだ荷物の搬送が必要なケースもあるでしょう。

人の手や搬送車両を用いての移動で賄えるケースもありますが、「荷物用エレベーター」を使用するのが最もシンプルかつ効果的な搬送方法です。

そこでこちらでは、工場や倉庫で用いられることの多い荷物用エレベーターの特徴について解説します。

荷物用エレベーターの特徴

「荷物用エレベーター」は、文字通り「荷物を上下階層に運搬するための昇降機」のことをいいます。

荷物用ではありますが「エレベーターの運転者」または「荷扱者」が乗り込むことは認められています。

逆に言えば、人が数人乗って動かすことは想定していないため、一般的な商業施設やマンション等に設置されているエレベーターのように人の上下階層への運搬のための用途には用いることができません。

人の移動をメインの用途でエレベーターを設置するのであれば、乗用エレベーターを設置しましょう。

荷物用エレベーターが活躍する場所・施設

荷物用エレベーターは「荷物を上下階層に運搬する」ということで、基本的に2階以上(地下階層を含む)の建物に設置されることになります。

倉庫・物流施設

「倉庫」や「物流施設」において、建物が2階以上の広い倉庫であれば荷物用エレベーターが活躍するでしょう。

扱う荷物の重さや多さを考慮して、かご面積の広さや荷重積載を考慮して、導入する荷物用エレベーターを選定してください。

工場

「工場」でも荷物用エレベーターは活躍します。

複数階層を持つ工場では、部品や完成品を上下階層に移動させる必要があるため、それらを一度に大量に搬送できる荷物用エレベーターは重宝するでしょう。

商業施設

「大型商業施設」でも、荷物用エレベーターが活躍する可能性があります。

2階以上の建物で荷物をやり取りする場合、大量の荷物や大型の荷物を運ぶには荷物用エレベーターが必要です。

商業施設の場合、ある程度の頻度で荷物のやり取りを行うケースが多いので、一時的・散発的に荷物を搬送するケースの多い建物・施設と比べて荷物用エレベーターの必要性が高くなります。

荷物用エレベーターを導入するにあたっての注意点

利便性の高い荷物用エレベーターですが、導入・設置するにあたってはいくつか注意するべきポイントがあります。

標識の掲示

「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」において、荷物用エレベーターには荷扱者以外の人が搭乗してはならない旨を、昇降機ごとの適切かつ見やすい位置に掲示する必要があります。

そのエレベーターが荷物用、つまり特定の人以外の乗り込みを禁止しているタイプであると知らずに乗り込んでしまい、トラブルに発展する可能性があります。

そのため上記指針においては、昇降機の用途ごとに適切な掲示を行うことで、当該昇降機の安全な使用を推進します。

参照:「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針

https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/uploaded/attachment/5827.pdf )」

ダムウェーターとの違い

ダムウェーター(小荷物専用昇降機)も「荷物の搬送に特化している」という点では荷物用エレベーターと同じですが、最大の違いは「人が乗っても良いかどうか」です。

前述の通り、荷物用エレベーターには運転者または荷扱者の搭乗が認められています。

一方でダムウェーターには、誰であっても人が乗って動かすことは禁止されているため、荷物だけ載せて運転させなければならない点で荷物用エレベーターとは区別されているのです。

適切な積載荷重であること

荷物用エレベーターを導入するにあたっては「積載荷重」に注意しなければなりません。

エレベーターには、機種ごとに載せられる重量の制限が大きく異なり、数百kgしか耐えられない機種もあれば、数千kgの重量に耐えられる機種もあります。

一般的に、積載荷重が大きいほど施工面積は大きくなりますし、本体価格や工事費用が高額化しやすいです。

そのため、積載荷重が低いほど設置難易度は低下しますが、だからといって過剰に積載荷重が少ない荷物用エレベーターを設置しても意味がありません。

日ごろ載せる荷物(+運転者)の重量を考慮して、過不足ない積載荷重の荷物用エレベーターを設置すれば、メリットを最大化できるでしょう。

フォークリフトを併用する場合は要注意

もし、荷物用エレベーターを利用するにあたって「フォークリフトを併用する場合」であれば、機種の選び方に注意が必要です。

「フォークリフトで荷物用エレベーターに荷物を降ろす」ということは「フォークリフトの一部が荷物用エレベーターに乗る」ということです。

フォークリフトは相当な重量がありますので、フォークリフトを併用することを前提とした機種である必要があります。

詳しい話は昇降機の業者と話し合う必要がありますが、扱う荷物の重量+フォークリフトの重量+フォークリフトの運転者の重量を計算する必要があるのです。(「用途が特殊なエレベーター及び当該エレベーターのかごの積載荷重を定める件」により、積載量の1.5倍が停止中の最大荷扱い質量となる)

まとめ:荷物用エレベーターは用途に合ったものを選定する

荷物用エレベーターの性能、および本当に荷物用エレベーターで過不足なく役目を果たすことができるのかについて十分に検討し、荷物用エレベーターを導入してください。

荷物用エレベーターに限らず、適切な機器を導入することによって導入先の作業効率や安全性を高め、導入先に大きな利益をもたらすことになるでしょう。

昇降機・エレベーターに関する法令・法規、お役立ち情報のリンク集

最新情報をチェックしよう!