エレベーターとリフトの違いとは?点検・検査などの違いをご紹介

人や物の運搬に使われるエレベーターや簡易リフトは、その用途に合わせて活用することで作業効率の向上などといったメリットをもたらします。 しかし、エレベーターと簡易リフトにはいくつかの違いがあり、それぞれに別の特徴を持つ昇降機となっているのです。

その違いを把握しておかなければ、求める用途に合った機器を導入することが難しくなるでしょう。

そこで今回は、エレベーターと簡易リフトの違いを確認し、点検・検査などについてご紹介いたします。

エレベーターと簡易リフトのそれぞれの定義について

エレベーターと簡易リフトには、その名称以外にもいくつかの違いがあります。 まずはそれぞれの定義を確認しましょう。

エレベーターとは

エレベーターとは、人や物を輸送する昇降機に含まれる機器です。 具体的には労働安全衛生法において「積載荷重が0.25t以上」「かごの面積1㎡超かつ高さ1.2m超」、もしくは建築基準法における「かごの面積1㎡超又は高さ1.2m超」という基準のものをエレベーターとして扱われます。

用途によっていくつかの種類に分かれていて、以下のようなエレベーターが一般的に展開されています。

・乗用エレベーター:人を運ぶことを目的としたエレベーター

・荷物用エレベーター:荷物のみを運ぶことを目的としたエレベーター

・人荷用エレベーター:人もしくは荷物を運ぶことを目的としたエレベーターであり、法律上は乗用エレベーターと同じものとして分類

こういった種類の中から、求める機能に応じて設置するエレベーターを選択することになります。

簡易リフトとは

簡易リフトとは、一般的に荷物を乗せることだけを目的とした昇降機です。 人が乗ることは禁止されていて、労働安全衛生法によって「かごの面積1㎡以下又は高さ1.2m以下」のものを簡易リフトとして定義しています。

荷物専用として使うことになるため、設置用途がはっきりとしているのが特徴です。

一方で、「リフト」そのものには、スキー場にある人を運ぶものや、エレベーター、介助用リフトなどさまざまなものが当てはまります。

エレベーターと簡易リフトの具体的な違いについて

エレベーターと簡易リフトの定義から、いくつかの違いを読み取ることができます。 特にサイズ、乗せることができる物、価格、法律といった面からは、明確な違いが見つけられるでしょう。

ここでは、エレベーターと簡易リフトの違いについて具体的にご紹介していきます。

サイズの違い

エレベーターと簡易リフトは、実際のサイズの違いによって分類されています。 労働安全衛生法において、エレベーターと簡易リフトは「かごの面積」と「高さ」を基準に分けられているのです。

基本的にエレベーターはサイズが大きくなり、簡易リフトはサイズが小さくなります。

乗せられるものの違い

実際に何を乗せられるのかという点でも、エレベーターと簡易リフトでは違いがあります。エレベーターはその用途に合わせて人、物、もしくはその両方を乗せることが可能です。

一方で、簡易リフトはいかなる場合でも人を乗せることはできず、荷物専用の昇降機になります。

価格の違い

エレベーターと簡易リフトでは、設置に必要となる価格にも違いがあります。 一般的にエレベーターは高価で、簡易リフトは安価となります。 その後のメンテナンス費用などの考慮をしても、エレベーターの方が基本的なコストが高くなるでしょう。

規定されている法律の数も違う

エレベーターと簡易リフトは、規定されている法律の数にも違いがあります。 簡易リフトは労働安全衛生法のみで規定されていますが、エレベーターは労働安全衛生法と建築基準法の2つの法律で規定されているのです。

そのため「労働安全衛生法だけに適した簡易リフトが、建築基準法の観点ではエレベーターに区分されてしまい、意図せず違法エレベーターになってしまう」といった事態も起こります。

規定する法律の数の違いは、こういったトラブルを生む可能性もあるのです。

労働安全衛生法と建築基準法のまとめ

エレベーターと簡易リフトは点検・検査の面でも違いがある

エレベーターと簡易リフトは、点検・検査においても違いのある製品です。

エレベーターは、建築基準法第12条における「定期検査」を行い、安全装置の試験や機器の劣化を総合的な面から確認する必要があるとされています。 定期検査は安全を考慮して年に1回は受けるように義務付けられていて、検査は建築大臣が認定した昇降機検査資格者、もしくは一級・二級建築士が実施することになるでしょう。

さらに、月に1回程度の保守検査を行う必要もあります。 必要な整備や補修を行うことで、安全にエレベーターを使用できるようにすることが求められるのです。

これらの検査記録はその後も利用するため、3年間は保管しておく必要があります。

一方、簡易リフトはエレベーターと違って、自主点検を行う必要があるとされています。エレベーターの保守点検と同じように、簡易リフトでも月に1回程度のペースで定期的に行われるのが基本です。

ワイヤロープやブレーキなどの安全装置が問題なく使用できるのかを点検し、点検記録は3年間の保存が求められます。


このように、エレベーターと簡易リフトは点検・検査の内容もそれぞれ違います。

どちらも利用者の安全を守るために必要な措置になるので、求められる点検・検査内容を確認して管理者としての責任を果たせるように備えましょう。

まとめ

エレベーターと簡易リフトの違いについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。本稿でご説明いたしました通り、エレベーターと簡易リフトには様々な違いがあります。

どちらも「何かを運搬する」という目的は同じですが、その特徴や点検・検査方法は、それぞれ異なっているのです。 本稿でエレベーターと簡易リフトの違いを改めて確認し、導入の参考にしてください。

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