多くの荷物を扱う工場や倉庫では、荷物運搬のためにマテハン機器を導入することに大きなメリットがあります。
一口にマテハン機器といってもさまざまな用途に応じた種類がありますが、その中に「垂直搬送機」という機器があります。
実は、垂直搬送機にはその性質上お得な特徴を持っており、運用上のメリットが大きな機器なのです。
そこでこちらでは、垂直搬送機の「法令適用外である」などの特徴について解説します。
垂直搬送機とは
垂直搬送機とは、荷物の垂直運送に特化した搬送機器です。
「荷物の運送」という用途であるため、荷物しか垂直搬送できず、人が単独または荷物と一緒に乗ることはできません。
単独で設置・運用されることもあれば、垂直搬送後に水平搬送するためのベルトコンベアなどと一緒に設置・運用されるスタイルもあります。
垂直搬送機の特徴
垂直搬送機には、以下のような特徴(導入することによるメリット等)があります。
荷物用エレベーターよりもコスパが良い
一概にどちらのほうが有能であるかは判断が難しいものの、金銭的なメリットを踏まえるとコスパの良さにおいて垂直搬送機の方が優れているといえます。
一般的な荷物用エレベーターと比較して、垂直搬送機は低コストで導入できます。
特にコンベア機器などのマテハン機器と組み合わせることによる搬送能力の高さは極めて高い水準であり、低コスト高パフォーマンスによるコストパフォーマンスの高さを実感できるでしょう。
人身事故のリスクが低い
基本的に、垂直搬送機は人身事故のリスクが低いです。
前述の通り、垂直搬送機は「荷物運搬専用」の搬送機器であり、人が乗ることはありません。
搬送部分に人が介在しないため、仮に故障等が発生しても人身事故につながるリスクは、人が乗るタイプのマテハン機器と比較すると低いといえます。
垂直搬送機の「法令適用外である」ことの意味とメリット
上記で挙げた他にも、垂直搬送機には「法令適用外である」という特徴があります。
「法令適用外である」とは
「法令適用外である」ということの意味は、一般的なエレベーターのように「建築基準法」や「労働安全衛生法」のような、マテハン機器の設置や運用に関係する法令の適用対象外であるということです。
これらの法令において、垂直搬送機は対象となる設備から除外されており、同法令の適用を受けないマテハン機器として運用できます。
法令適用外であることのメリット
建築基準法等の適用を受けないことにより、例えば同法令が規定する建築確認申請や定期検査報告などの義務が発生しません。
建築基準法や労働安全衛生法では、マテハン機器対して、その設置や運用中の点検報告などが義務付けられていますが、法令適用外である垂直搬送機にはそれが適用されません。
法令適用外に関する注意点
ただし、建築物に垂直搬送機などの搬送設備を設置する場合は、建築基準法における防火区画の貫通など、各関係法令の確認対応が必要です。
垂直搬送機を導入する際は、そのあたりの対応について業者に確認しておくことをおすすめします。
昇降機・垂直搬送機に関する法令のまとめはこちら
垂直搬送機の導入と業者との相談
垂直搬送機を導入するにあたっては、導入元となる業者と綿密な話し合いを行い、導入後に後悔することがないようにしておきましょう。
導入目的を達成できる機器を適切に選定できる
垂直搬送機などのマテハン機器を導入するにあたっては「導入目的を達成できること」が何よりも重要です。
例えば、垂直搬送機の場合であれば前述のメリットがあり、利便性が高いのですが、「人が乗ることができない」というデメリットもあります。
もし、導入目的が「荷物と人を一緒に搬送したい」という場合であれば、垂直搬送機はその導入目的にマッチしません。
導入にあたっては、価格の安さを最優先することなく、どういった目的で機器を導入したいのかを明確に業者に説明し、その目的を達成するために必要な機器が何であるかを正しく選定することが重要です。
関係法令等を正しく理解できる
マテハン機器の導入にあたっては、関係法令を適切に理解し、設置や運用等における関係法令との関りについて正しく理解する必要があります。
例えば前述の通り、垂直搬送機は建築基準法等の適用外ではありますが、設置に際して防火区画の貫通などの対応は必要です。
関係法令を無視した設置・運用をしてしまうと、後に事故などのトラブルの原因になる可能性があります。
安全かつ適切に設置・運用するための関係法令の知識を業者から身につけることも重要です。
まとめ:垂直搬送機は建築基準法等の適用外である
垂直搬送機は、建築基準法の昇降機に該当しない点などにおいてメリットがありますが、だからといって関係法令を無視した運用法はできません。
安全かつ適切に導入して運用するためには、業者との話し合いが欠かせません。
どういった目的で機器を導入したいのかを明確に伝え、良いところだけでなく悪いところもきちんと確認して、導入後に後悔するようなことがないようにしましょう。