工場や倉庫などの現場においては、さまざまなマテハン機器が日夜大活躍しています。
日の目を見る機会の多いマテハン機器もあれば、影ながら活躍している縁の下の力持ちのような機器も数多く存在し、中には重要な役割を任されている部品も数多く存在しています。
そこでこちらでは、搬送作業において活躍している「コンベアチェーン」について解説します。
厳密には、コンベアチェーンは「コンベア」の部品の1つですが、大切な部品のためあえてこちらで紹介します。
コンベアチェーンとは?
コンベアチェーンとは、コンベアに使われているチェーン部品のことです。
コンベアの性能を左右する重要な部品の1つであり、製品ごとに耐久性や摩擦関係の数値などが異なります。
サイズや形状もさまざまであり、用途に応じた特性を持ったコンベアチェーンを使用する必要があります。
コンベアチェーンの異常
コンベアチェーンも人工物ですから、使用する中で摩耗等を起こし、最終的には破損して使えなくなってしまいます。
もし、コンベアチェーンに異常が発生すれば、以下のような症状を呈するケースが多いです。
見た目の変化
コンベアチェーンは、見た目でわかりやすい異常を発生させるケースもあります。
例えば、チェーンの各部が荷重により変形を起こしている場合がわかりやすいでしょう。
また、使用する環境次第では、水分や酸・アルカリの影響により腐食を起こす可能性があります。
不自然な振動
コンベアを動かしている間は相応の振動が発生しますが、不自然な振動が発生している場合にはコンベアチェーンに異常が発生している可能性があります。
異音
振動と同じく、コンベア起動中は大きな音が発生しますが、通常とは異なる異音が発生する場合にはコンベアチェーンに異常が発生している可能性があります。
コンベアチェーンの寿命
コンベアチェーンの寿命は製品ごとに異なります。
また、使用環境や使用状況によっては、カタログスペックの寿命よりも短期間で限界を迎えてしまうケースもあるでしょう。
例えば、コンベアチェーンの使用においては「潤滑の確保」は重要です。
自転車のチェーンにも潤滑が重要であるように、大きな負荷のかかるコンベアチェーンを安全に使用するためには潤滑油による潤滑の確保は欠かせません。
潤滑を疎かにすると摩擦による負荷が大きくなり、寿命を縮めることになります。
コンベアチェーンによる事故を防ぐためには?
コンベアチェーンに限った話ではありませんが、大掛かりな機械・設備の部品が破損したことを原因として、機械設備が故障して場合によっては大事故に発展することも考えられます。
大掛かりな機器の1つであるコンベアも、コンベアチェーンが破損することで大事故が起こる可能性を捨てきれません。
とはいえ、作業現場によってはコンベアの存在は欠かせないものであり、コンベアを使わないというわけにもいかないでしょう。
そのため、コンベアチェーンの状態は適切なタイミングで定期的にチェックして、必要に応じて修理交換等の措置をしなければなりません。
正常な状態との違いを感じたら速やかに点検する
コンベアチェーンに限った話ではありませんが、この手の機械設備の事故を防ぐために重要なことは「故障の前兆を見逃さない」ことです。
常にそういった異常を感知できるわけではありませんが、異常が発生すれば何らかのサインを発することもあります。
日ごろからその機械設備を使用する人は日常的な振動や音、匂いなどの情報を覚えていますので、異常を感知したら「何か変だな?」と違和感を覚えるでしょう。
その違和感を、ただの違和感で済ませるのではなく、おかしいと感じたら早めに責任者に報告して運転を中止することが望ましいのです。
そして、当該機械設備の点検を行い、異常が発見されたら速やかに修理や部品交換等の措置を講じる必要があります。
定期点検は使用状況によって頻度を調整する
仮に異常が感知されていないとしても、機械設備には法律やガイドラインによって定期点検が規定されています。
ベルトコンベアには法定点検の規定はありませんが、「労働安全衛生法」に基づく安全基準に関する技術上の指針が規定されています。
これにより、始業前点検および定期点検が必要になりますが、定期点検の頻度は幅広く設定されています。
この手の機械設備の寿命は当該機械設備にかかる負荷が大きいほど短くなりやすいため、負荷がかかりやすい使い方をしている現場においては可能な限り細かい頻度で定期点検を実施することをおすすめします。
まとめ:コンベアチェーンはコンベアの重要な部品の1つ
コンベアチェーンは地味な部品だと思われるかもしれませんが、コンベアにとって重要な部品の1つであることは間違いありません。
コンベアチェーンに異常が発生すれば、安全にコンベアを使用することは難しいでしょう。
日常的な点検と数か月に1度の定期点検を確実に実施し、使用中に振動や異音などの異常を感知したら速やかにコンベアの運転を中止し、点検と必要に応じて修理交換等の措置を講じてください。