倉庫の自動化は本当に可能?物流倉庫の省人化に成功した事例を紹介

昨今、ロボットやAIが人の仕事を代わりにこなす、いわゆる「自動化」が進んでいる業界も少なくありません。

物流業界でも自動化の流れができつつあり、しかしながら「本当に自動化なんてできるのか?」と疑う人も少なくないでしょう。

ですが、実際に自動化した事例を見れば、倉庫の自動化が現実的なものであることがわかるはずです。

そこでこちらでは、倉庫の自動化・省人化に成功した事例を5つ紹介します。

アスクルの事例

事務用品などの通信販売を手掛ける「アスクル」では、物流センターに100台以上の自動搬送ロボットを導入しています。

参考:ロボスタ「アスクルの物流センターにGeek+の自動搬送ロボットを111台導入 出荷製品を自動運転でスタッフまで運ぶスマート物流」

倉庫内の商品のうち、出荷予定の商品を自動的にピックアップし、担当者の元まで運ぶ作業を自動搬送ロボットが担います。

導入の背景としては、EC事業の拡大に伴う慢性的な人手不足がありました。

そこで、倉庫内を移動する手間を省くことにより、倉庫業務の省人化を大幅に推進することに繋がります。

関通の事例

楽天と資本・業務提携している物流業者の「関通」では、ピッキング支援ロボットを導入しています。

参考:日経クロステック「楽天の物流拠点で中国発ピッキング支援ロボ、物流業者の関通が日本初導入」

自律移動ロボットの役割は、自社の商品棚を次々と回って注文の入った商品を物流センターの梱包エリアまで自動運搬することです。

導入後は、従来のケースと比較して1日あたりの出荷可能量が倍増するなどの成果を挙げています。

ヤマト運輸の事例

運送業の大手「ヤマト運輸」では、仕分けターミナルでロールボックスパレットの自動搬送に物流支援ロボットを導入しています。

参考:LogisticsToday「ヤマト運輸、仕分け現場にZMP物流支援ロボ導入」

複数のAGVを比較した中で、

・搬送ルートの設定および変更が容易である

・使用する作業員の操作が簡単である

・自社のロールボックスパレットをそのまま搬送できる

などの理由から、ZMP社の「キャリロ」という物流ロボットを導入しました。

庫内搬送業務をロボットによる自動搬送に切り替えることで、庫内業務の省人化・省力化に繋がっています。

また、搬送ルートがより明確になったことにより、以前よりも安全に作業導線を整備することができたとしています。

モノタロウの事例

業務用の工具・資材等の販売を手掛ける「モノタロウ」では、物流拠点「笠間ディストリビューションセンター」において庫内業務の省人化を実現しています。

参考:物流ニュースLNEWS「MonotaRO/自律搬送型ロボット導入の新物流拠点、本格稼働」

自律搬送型ロボットなどを活用したオペレーションの自動化と省力化を推進し、従来の2倍の出荷能力と生産性向上を実現しています。

自動化には、日立製作所製の自立搬送型ロボット「Racrew(ラックル)」を採用、ピッキング作業の軽減と効率化を進めることにより、尼崎DCを合わせて売上1,500億円の体制を整えたと発表しています。

佐川グローバルロジスティクスの事例

「佐川グローバルロジスティクス」は次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」の自動化について、報道関係者向けの内覧会を行っています。

参考:ロボスタ「佐川の大規模物流センター「Xフロンティア」次世代型ECプラットフォームセンターの自動化とロボット導入 スマート物流の最前線」

庫内作業の自動化に伴って、自動搬送ロボットの「EVE」と「OTTO」など4種類のロボットが導入されています。

Xフロンティアは佐川グループ数社が同居する次世代型大規模物流センターです。

トラックから降ろされた商品はコンピュータに登録され、保管のためのラックに収容されてラックと商品をコードリーダーで紐づけします。

自律走行型搬送ロボット「EVE」は、各ラックの下に潜り込んでラックごと持ち上げ、所定の位置までラック運ぶ仕組みとなっています

倉庫を自動化するメリット

倉庫を自動化することにより、以下のメリットが発生します。

・倉庫業務の品質の均一化

・人手不足問題の解消と人件費の削減

・従業員の事故リスクの軽減

・倉庫スペースを有効活用できる

・業務効率の改善と業績の向上

倉庫業務の自動化の課題

倉庫業務を自動化するにあたっては、「費用」に関する課題が重くのしかかります。

導入する機器・ロボット等の規模にもよりますが、億単位での資金投入が必要になるケースが多いでしょう。

もちろん、投入した資金を回収できるくらいの売上向上を見積もることができれば、将来的には大きなプラスになるでしょうが、さらに「費用対効果」の問題も無視できません。

この手の自動化が効力を発揮するのは、ある程度の事業規模が必要です。

仮に、ちょっとした大きさの家庭用レベルの倉庫をロボットにより自動化したとしても、人が行える作業量とそれほど変わらないのではないでしょうか?

大手物流企業やECサイト運営会社が保有するような大型倉庫であればこそ、自動化による省人化が大きなメリットをもたらすのです。

まだまだ自動化のためのロボットは新しい技術であり、コストがかかる点は無視できません。

まとめ:倉庫自動化は事例あり、今後も倉庫の自動化は進むだろう

倉庫を自動化することはコストなどの点でなかなか浸透しないイメージがありますが、実際に導入している企業が存在することから決して非現実的であるともいえません。

物流の現場におけるさまざまな問題を解消する手立てとして、マテハン機器やロボットを導入した倉庫の自動化はメリット豊富であり、技術の進歩と低価格化が進めば今まで以上に倉庫の自動化は浸透していくでしょう。

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