フォークリフトは大型の荷物を運搬するために必要な機材の1つですが、人工物ですからいつかは壊れてしまいます。
それがいつになるかは日ごろのメンテナンスなどの使い方次第ではありますが、大切に扱っていても故障してしまうリスクはゼロにはなりません。
そこで今回は、フォークリフトの故障の症状と対処法、故障リスクを減らすための点検の重要性について解説します。
フォークリフトが故障した場合に起こり得る症状
フォークリフトに故障などの異常が発生したら、以下のような症状が発生する可能性があります。少しでも異変を感じ、以下のような症状を確認したら、フォークリフトの点検のタイミングに関わらず、速やかにメンテナンスを実施することをおすすめします。
エンジンがかかりづらくなったと感じる
機種によってタイミングは異なりますが「以前と比べてエンジンがかかりづらくなった」と感じたら、フォークリフトの故障を疑う必要があるかもしれません。
ハンドル操作が重くなったと感じる
車両であるフォークリフトにはハンドルがありますが、このハンドルが「以前と比べてハンドル操作が重くなった」と感じたら、フォークリフトの故障を疑う必要があるかもしれません。
ハンドルを切るとフラフラするような気がする
ハンドル操作に関してはもう1つ、もし運転中にハンドル操作をして「ハンドルを切ったときにフラフラしたと感じた」場合にも危険信号です。
走り出すとどこからか異音が発生する
フォークリフトを運転して「走行開始時または走行中に、どこからかおかしな音が発生している」という場合にも、フォークリフトの故障を疑う必要があります。
フォークを上げるとフォーク付近から異音が発生する
フォークリフトの代名詞「フォーク(ツメ)」を上げると動作音が発生しますが、もし「以前は聞こえなかった音がするような気がする」という場合には故障を疑う必要があります。
車体の下にオイルや水などの跡が発生する
フォークリフトを運転し、走行跡に「オイルや水などの跡ができている」という場合には、どこかが確実に故障しており、速やかにメンテナンスを実施する必要があるといえます。
操縦席のどこかのランプがついている
操縦席にはさまざまな「ランプ」が搭載されていますが、「あれ?いつもは点いていない箇所のランプが点灯している」という場合には、ランプの部分に何と書いてあるか確認してください。
異常発生時に点灯するタイプのランプである場合には速やかに作業を中止し、メンテナンス等を実施しなければなりません。
フォークリフトが故障した場合の適切な対処法
フォークリフトが故障したと疑われる症状を確認したら、適切に対処行動を実施する必要があります。ここでは、フォークリフトが故障した場合の適切な対処法をご紹介いたします。
慌てずに安全を確保する
まずは基本ですが、「慌てない」ことが重要です。
仮にフォークリフトが故障していると判断しても、すぐにバラバラになったり、爆発したりすることはめったにありません。慌てずにエンジンを切り、周囲の安全を確認してください。
責任者に報告する
フォークリフトの故障等の異常を感知したら、事業者やフォークリフトの管理責任者等にその旨を報告してください。自己判断が事故に繋がることがあるので、責任者へ報告して、どうすべきか判断を仰ぎましょう。
よほど危険な箇所でない限りフォークリフトを動かさない
フォークリフトがどこで故障したのかにもよりますが、基本的に故障しているフォークリフトは無理に動かさないのが無難です。
自走することはもちろん、けん引する場合でもどこか壊れているかわかりませんから、安全確保の観点からは無理に動かさない方が良いでしょう。
ただし、フォークリフトを停止させた場所が他の作業の妨げになる場合や、何らかの危険を伴う恐れがある場合など特殊な事例の場合には、安全な方法であることを前提にフォークリフトを安全で邪魔にならない箇所に停車させましょう。
安全柵などで囲う
フォークリフトを停車させたら、周囲を安全柵などで囲って「修理中・故障中」などのステッカー等でフォークリフトが故障していることがわかるようにしておきましょう。
重要なことは「故障したフォークリフトに近づけなくすること」と「そのフォークリフトが故障して動かせない状態であることをわかりやすくする」ことの2つです。間違って使用して、事故に繋がってしまってはいけませんので、しっかり安全柵を設けましょう
業者に修理を依頼する
必要なすべての安全措置が完了したら、業者にフォークリフトの点検および修理を依頼してください。業務に大きな支障が出るようであれば、すぐに連絡し、故障を直してもらうようにしましょう。
フォークリフトの点検の重要性
フォークリフトは「労働安全衛生規則」によって「1年を超えない期間に1回の頻度で定期的に」「1か月を超えない期間に1回の頻度で定期的に」自主点検を実施することが定められています(詳しくは「フォークリフトにおける危険行為とは?運搬機械の用途外使用は危険!」をご覧ください)。
定期的に点検を実施することで、フォークリフトが本格的に故障する前に各部の異常を確認できます。故障前に異常を感知すれば、故障前に部品交換やメンテナンスを実施でき、故障時の修理費用よりも安い費用で問題を解消できるでしょう。
もし、メンテナンスを疎かにすれば故障リスクを高めることになり、人身事故や物損事故などの賠償をしなければならなくなります。
安全にフォークリフトを運用するためには、定期メンテナンスをしっかりと実施することが重要なのです。
まとめ:故障しても慌てずに対処、故障リスクを減らすためにも法定点検を中心に適切な点検を
フォークリフトを普段から利用している人の意見は貴重であり、その人が異常を感知したらその意見を蔑ろにせず速やかにメンテナンスを実施しましょう。労働安全衛生規則などで定められている法定点検はもちろん、必要に応じて適宜メンテナンスを実施するなどの措置を講じてください。