エレベーターを運行していると、どこかで「異音」が発生することがあります。エレベーターの使用者は不安に感じるでしょうし、何より安全衛生上の問題が懸念されるます。
放置していると事故を引き起こしかねませんので、異音の原因を特定しなければなりません。
そこで今回は、エレベーターから異音が発生する原因について解説します。この記事を読んでいただくことで、エレベーターから異音が発生したときの迅速な対処法を学ぶことができますので、ぜひ最後までご覧ください。
エレベーターの異音
エレベーターを使い続けていると、いつの間にか「異音(おかしな音・不自然な音)」が発生する可能性があります。
もちろん、通常の稼働音は発生しますが、平常時や他のエレベーターと乗り比べてみて明らかに異なる音を感じることになるでしょう。エレベーターからの異音は大きく分けて2つの原因が考えられます。
考えられる原因1:ガイドレールの油切れ
1つ目の原因は「ガイドレールの油切れ」です。ガイドレールとは、エレベーターを導くレールのことで、通常このガイドレールには潤滑油が塗られています。
しかし、エレベーターを使用する中で潤滑油が切れてしまうと、ガイドレールの滑りが悪くなってしまい、異音が発生するのです。この状況を放置すると、異音の他に稼働時の振動などの症状も見られます。
さらに放置してしまうと、ガイドレールとの摩擦がさらに大きくなり、エレベーターの動きが悪くなったり、動かなくなったりするでしょう。
当然ながら、症状が悪化するにしたがって修理費用も高額になりますので、異音を感じたら早めに潤滑油を塗るなどの対処を行う必要があります。
考えられる原因2:巻上機のブレーキの制御不良
2つ目の原因は「巻き上げ機のブレーキの制御不良」です。エレベーターには「巻き上げ機」が設置されており、減速機を用いることでエレベーターの昇降速度を制御しています。
この減速機には歯車が使用されているのですが、歯車同士の間に隙間ができると稼働時に振動が発生し、異音を発生する原因となるのです。
異音が発生している状態を放置してエレベーターを使用し続けると、巻き上げ機のブレーキが滑ってしまったり、ディスクブレーキが破損したりします。
こちらの原因で異音が発生する場合でも、異音の原因を放置することで症状が悪化し、いざ修理するとなると、高額な修理費用が発生し、そもそも修理ではなく大掛かりな交換作業になることもあるため、さらに高額な費用が発生します。
異音の他にも注意するべきエレベーターの異常
エレベーターの稼働時に異音が発生したら早めの対処が必要ですが、エレベーターは音の他にも以下のような異常を感じたら早めに技術者を呼んでメンテナンスしてもらう必要があります。
- エレベーター内や近辺に異臭が発生する
- エレベーターの昇降時に揺れが発生する
- エレベーターの昇降速度が変化した
- ボタンを押して待っていたのにエレベーターが通り過ぎた
- エレベーターが目的階数に着いたのに扉が開かない
- エレベーターが止まった時に外との間に段差ができている
日ごろからエレベーターを利用している人は普段と違う点に気づくことができるでしょうから、エレベーターの所有者や運行管理者は意見を聞いて速やかに行動に移す必要があります。
エレベーターの異常を放置するとどうなる?
異音やその他の異常を放置すると、エレベーターは故障や事故などの異常な動作をしてしまう可能性が高いです。
- エレベーター内に閉じ込められてしまう
- エレベーターのワイヤーが劣化する
- エレベーター内に雨水が浸水する
ただちに命の危機に直結する事態になるとは限りませんが、故障や事故の程度によっては利用者がケガする可能性がありますし、最悪の事態についても想定しなければなりません。
エレベーターの保守・点検は法律で定められている
エレベーターの保守・点検に関しては「建築基準法」や「労働安全衛生法」などで定められており、検査の種類ごとに1か月以内や1年以内に1回の頻度で定期的な検査が必要です。
異音の原因となる故障・不備などを未然に防ぐためには、法律に則って適切な手段で定期検査を実施してください。
また、実際にトラブルが発生した場合には「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」などの規定に則って適切な救助活動や修理などの対処を実施しなければなりません。
異音などの異常はメンテナンス不足?
定期的に適切なメンテナンスを実施できていれば、エレベーターに異常が発生するリスクは小さくなりますが、リスクをゼロにできるわけではありません。
そのため、異音やその他の異常が発生しているからと言って、定期メンテナンスを怠っている、もしくはメンテナンス内容が疎かになっている証拠であるわけではないのです。
とはいえ、異音などの異常が発生したら早めに対処しなければならないことに間違いありません。利用者が安全にエレベーターを利用できるように、異常を感知したら早めに対応することと、適切な定期メンテナンスを心がけましょう。
まとめ:エレベーターの異音はトラブルの初期症状、大事に至る前に対処を
エレベーターの異音は、エレベーターに使用されているパーツの不具合によるもので、多くの場合は初期症状として異音が発生します。
異音だけで済んでいる状態で修理する場合と、異音を放置して症状が悪化してから修理するのでは、後者の方が高額なメンテナンス費用が発生するでしょう。
異音やその他の異常を感知したら早めにエレベーターの使用を中止し、メンテナンスを実行してください。