荷物の運搬を行うための荷物用エレベーターの導入は、職場に大きなメリットを与えます。
しかし、荷物用エレベーターは正しく使うことができなければ、重大事故を引き起こす可能性のある機械です。
そのため使用時は万が一のことを考えて、荷物用エレベーターのための安全対策を実施することが求められるでしょう。
こちらでは荷物用エレベーターの安全対策のポイントと、事故を起こさないための方法を確認します。
荷物用エレベーターを導入するのなら、安全の上で利用できるようにこちらを参考にしてみてください。
荷物用エレベーターの事故事例
荷物用エレベーターは、これまでに多くの事故を起こした事例があります。
安全対策を実施する前に、まずどのような事故事例があるのかも確認しておきましょう。
荷物用エレベーターに搭乗して、2階の床先との間にはさまれた事例
食料品製造工場で、昇降路の出入り口の床先と荷物用エレベーターの間に頭部がはさまれるという事故がありました。
構造的に人が入り込む余地のある荷物用エレベーターだったことや、ルールを無視して人が搭乗してしまったことが、事故の原因として挙げられています。
荷物用エレベーターのワイヤロープが切断し、搬器が落下した事例
自動車工場で使われていた荷物用エレベーターのワイヤロープが切断し、搬器が階下まで落下した事故事例です。
ワイヤロープに傷があったことや、落下を防止する安全装置の調整が不十分だったことなどが、事故原因として考えられています。
下降してきた荷物用エレベーターの搬器に頭部をはさまれる
荷物用エレベーターの出入口から覗き込む形でいたところ、搬器が降りてきて頭部に衝突し、そのままはさまれてしまった事例です。
安全を守るための装置を用意していなかった点や、通常の使用時における安全のためのルールを定めていなかった点が原因とされています。
荷物用エレベーターの安全対策について
上記のような事故事例を把握すると、荷物用エレベーターの安全対策にどのようなものが必要になるのかが見えてきます。
たとえば以下のような内容が、具体的な荷物用エレベーターの安全対策として考えられるでしょう。
各種安全装置の設置と管理を行う
荷物用エレベーターに必要な各種安全装置の設置と管理を行うことは、安全対策の基本になります。
たとえば下記のような装置が、荷物用エレベーターの使用者の安全を守ることになるでしょう。
・外扉をロックする装置
・戸開走行保護装置(二重ブレーキ)
・かごの落下を防止する装置
・かごを緊急停止させる装置
・エレベーターの昇降する範囲を囲う柵の設置
こういった安全装置を設置し、定期的に修理や交換を行うことが重要です。
故障の初期症状をチェックする
荷物用エレベーターが使用によって劣化していくと、故障によって事故の可能性が増加します。
そのため故障の初期症状を把握して、早めにエレベーターの劣化に気づくことも安全対策のひとつです。
荷物用エレベーターにおける故障の初期症状としては、以下のようなものが考えられます。
・昇降中に異音がする
・扉の開閉が正しく行われない
・停止位置がズレて段差ができる
・かごが昇降中に激しく揺れる
こういった症状が見られると、故障を疑う必要があるかもしれません。
必要に応じて修理対応を行い、荷物用エレベーターが壊れないように安全対策していきましょう。
荷物用エレベーターで事故を起こさないためのポイント
荷物用エレベーターで事故を起こさないためには、上記のような安全対策に加えていつくか意識しておきたいポイントがあります。
使用者や管理者の意識を変えることも、荷物用エレベーターを安全に使うきっかけになるのです。
重要な意識のポイントをまとめましたので、以下から内容を確認してみてください。
移動のために人が乗らないことを周知
荷物用エレベーターは、その名の通り荷物を輸送するために使われる昇降機です。
そのため、荷扱者かかごの運転者以外の利用は禁止されています。
そのルールを守らずに、移動のために人が荷物用エレベーターに乗るようなことがあれば、それは事故の原因になるでしょう。
そういった基本的な使い方を従業員に周知することが、事故を起こさないための安全対策になります。
たとえ荷物以外に人が乗れるスペースがあったり、急いで移動する用事があったりしても、荷物用エレベーターに乗ることはできません。
もし事前に荷物だけでなく人の移動も必要であることがわかっているのなら、荷物用エレベーターではなく人荷用エレベーターの設置を検討しましょう。
ステッカーなどで注意喚起を行う
「荷物用エレベーターへの搭乗禁止」などといったルールを明記したステッカーを貼ることも、事故を起こさないための安全対策です。
常に見える位置にステッカーを貼っておけば、利用者に荷物用エレベーターへの搭乗を避ける意識を持たせることができます。
他にも最大積載量が記載されているステッカーを貼ることで、無理な荷物の積み込みを抑制することが可能です。
ステッカーは簡単にできる事故防止の方法のひとつなので、荷物用エレベーターを設置した際には貼り付けを検討してみましょう。
安全衛生教育の実施
従業員に向けて安全衛生教育を実施することも、荷物用エレベーターの事故を防ぐ安全対策になります。
危害の防止や健康の保持に関する方針を明確にしていないと、従業員は安全を軽視して安易な行動を取る可能性があります。
そういった意識を改革するためにも、荷物用エレベーターの使い方や安全管理についての情報を、従業員に伝える機会を持つようにしましょう。
まとめ
荷物用エレベーターの安全対策は、従業員が安心して働くために欠かせない要素です。
この機会に事故を起こさないための具体的な方法を確認し、荷物用エレベーターを安全に使うための環境を作ってみましょう。