家庭用昇降機と倉庫・工場用昇降機の違い

ご家庭によっては、介護などの理由から「家庭用昇降機(ホームエレベーター)」を設置したいニーズもあるでしょう。

また、テレビ番組で戸建て住宅内に昇降機(マンションのエレベーターではないもの)が備え付けられているシーンを見たことがある人もいると思います。

さて、そんな家庭用の昇降機ですが、いざ設置するとなれば「業務用(倉庫や工場に設置されているもの)」と何が違うのだろうと思いませんか?

そこでこちらでは、家庭用と業務用の昇降機の違いについて解説します。

家庭用昇降機とは?

家庭用昇降機とは、文字通り一般的な戸建て住宅の内部で使用されるエレベーターのことです。

一般的な箱型形状のほかにも、介護用に階段を上り下りする椅子のような形状のエレベーターも、家庭用昇降機に分類されるといえます。

家庭用昇降機の用途

家庭用昇降機は、2階建て以上の高さの戸建て住宅において、階段やはしごなどを使わずに階層移動をするための搬送装置です。

高齢や事故の後遺障害など下半身に問題を抱えている人でも、問題なく安全に階層移動を可能にする装置として注目されています。

家庭用昇降機の法令上の立ち位置

家庭用昇降機やホームエレベーターという単語は、昇降機が深く関係する法令「建築基準法」において正式に使われているものではありません。

家庭用昇降機の、法令上の立ち位置としては「小型昇降機と同様の荷重積載条件緩和対象である」と同時に「特殊な構造又は使用形態のエレベーターとして規定の除外対象である」という状態です。

まずは、「建築基準法施行令第129条5の2項」において、エレベーターのかごの積載荷重が定められています。

しかし、「建設省告示第1415号(用途が特殊なエレベーター及び当該エレベーターのかごの積載荷重を定める件)」の定める条件を満たしたものは、いわゆる「小型エレベーター」としてその積載荷重の条件が緩和されるのです。

それに加えて、家庭用昇降機は建築基準法施行令129条の3第2項1号の定める条件を満たすものとして、通常のエレベーターに適用される規定が除外されます。

家庭用昇降機と業務用昇降機の運用上の違い

前述の法的扱いの違いにより、家庭用昇降機が一般的な業務用の昇降機と比べて扱いが異なる部分について解説します。

定期報告制度の対象外

平成28年1月21日付けの「国土交通告示240号」において、かごが住戸内のみを昇降するもの(家庭用昇降機のこと)は、事故発生リスクの少ない昇降機であると規定されています。

これにより、通常の業務用エレベーターのような定期検査および特定行政庁への報告は不要となりました。

ただし、「建築基準法第8条第1項」が規定する定期的な保守点検については、通常の業務用昇降機と同様に必要になりますので注意が必要です。

そもそも、業務用昇降機よりも小規模であるとはいえ、2階以上の高さを移動する装置ですから、住人が安全に使用するためには定期的なメンテナンスや、異常感知時の使用停止などの措置は欠かせません。

設置場所の限定

家庭用昇降機は、戸建て住宅内にしか設置できません。

家庭用昇降機は関係法令により「かごが住戸内のみを昇降する」ことが条件として定められています。

つまり、福祉施設や商業施設のように、明らかに住宅ではない場所には、家庭用昇降機に分類される昇降機を設置することはできません。

家庭用昇降機の補助や減税制度

家庭用昇降機をご自宅(または親族や知り合いの住居など)に設置を検討されるにあたっては「補助金」や「減税制度」といったサポートを利用することをおすすめします。

バリアフリーリフォームに対する減税や補助制度

家庭用昇降機を取り付ける理由として特に多いのが「介護などを目的としたリフォームの一環として」というのが多いです。

そうした目的であれば、バリアフリーを目的としたリフォームの減税制度や補助金制度が利用できる可能性があります。

家庭用とはいえエレベーターを設置するわけですから、費用負担は無視できません。

その一部でもサポートしてもらえる制度があるのであれば、利用して費用負担を軽減しましょう。

制度の利用は業者に相談

この手の制度について具体例を挙げるのは難しいと考えていますが、理由は2つあります。

1つは「制度には予算や期間の定めがある」こと、もう1つは「自治体によって利用できる制度に違いがある」ことです。

要するに「人やタイミングなどの状況によって利用できる制度の内容や有無は異なる」ということです。

なので、家庭用昇降機の設置を検討しており、少しでも費用負担を軽減したいと考えるのであれば、ご自身のケースにおいて減税制度や補助制度が何か利用できないか、業者に確認しておくことをおすすめします。

業者は自身が扱う商品に補助金などの制度が利用できるのであれば、把握している可能性が高いです。

もちろん、費用負担については導入する設備などの問題もありますが、高額でも機能的なものを導入したいというニーズもあるでしょう。

その費用負担を少しでも、補助金や減税制度などで軽減したいと考えるのであれば、見積もりの相談の時点で、業者に利用できる制度の内容や有無について確認してください。

まとめ:家庭用昇降機は業務用とは異なる扱いを受ける

この記事では家庭用昇降機の法的な扱いなどについて解説しましたが、導入するにあたっては設置や運用中の注意、補助金などのサポートについて業者にきちんと確認しておきましょう。

導入の目的が何であれ、安易な考えで設置を決めてしまっては後になって後悔する可能性も捨てきれません。

家庭用昇降機の設置における満足度を高めるためにも、導入検討時の比較検討や業者との相談にはしっかりと時間を確保してください。

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