搬送設備の1つである「ベルトコンベア」は、導入している施設の多くにとって作業ラインにおいて必要不可欠な存在になっているでしょう。
これから導入する施設や、これからベルトコンベアの作業の責任者になる方は、ベルトコンベアの仕組みについてしっかりと理解しておくことが重要です。
そこでこちらでは、ベルトコンベアの基本的な仕組みと、その仕組みにより得られるメリットについて解説します。
ベルトコンベアの基本的な仕組み
ベルトコンベアの基本的な仕組みは「ベルト状の搬送面を輪状にし、これを回転させることで乗せている物体を一方向に搬送する」というものです。
モーターなどの原動力によりベルトを回転させます。
ベルトの材質はゴム製が主流ですが、最近では樹脂製やフェルト製のベルトも利用されています。
ベルトコンベアの仕組み上のメリット
ベルトコンベアを利用することで「安全に、効率よく搬送作業できる」というメリットがありますが、上記で説明したベルトコンベアの仕組みならではのメリットについて解説します。
搬送時に搬送面が「連続した状態」になっている
1つ目のメリットは「搬送面が連続している」ことです。
ベルトコンベアは搬送面がつながっているベルト形状になっており、これを動かすことで対象物を搬送します。
例えばバケツリレーの場合、バケツを人の手から手に渡す都合上、どうしても「どこかで落としてしまう」リスクは避けられません。
ベルトコンベアの場合、搬送する荷物は搬送面とほぼ常に設置している状態であり、傾斜や荷物の形状にもよりますが基本的に安定した搬送作業を可能にします。
構造がシンプルで耐久性が期待できる
2つ目のメリットは「シンプル構造で耐久性の高さを期待できる」ことです。
ベルトコンベアごとに具体的な構造やパーツ数は異なりますが、どれも基本的にシンプルな構造をしています。
得てして、複雑な構造の設備や機械は故障リスクが高く、作業の中心になる搬送装置の故障は生産ラインや作業工程に大きな支障をきたすことになるでしょう。
シンプル構造かつ、搬送時の荷物によるベルト摩耗がほとんどないことから、ベルトコンベアは高い耐久性を期待でき、故障による作業効率の低下リスクや修理費用の負担リスクが低くなります。
設置する場所の条件や環境に適応させやすい
3つめのメリットは「順応性が高い」ことです。ベルトコンベアの重要部品の1つである「ベルト」は、近年その種類を増やしています。
以前のラインナップでは対応できなかった分野でもベルト対応の幅が広まったことにより、さまざまな分野でベルトコンベアを利用できるようになりました。
また、分野だけでなく環境面での順応性も、ベルトや各部品をその環境に適したものにすることで対応できます。
シンプル構造で部品の種類の幅も広いことにより、さまざまな事業所においてベルトコンベアを問題なく利用できる順応性の高さがメリットです。
伸長にあたり低コストで済む
4つ目のメリットは「長さあたりのコストが低い」ことです。ベルトコンベアの長さは、設置する場所や関連作業との兼ね合いにより、必要な長さがそれぞれ異なります。ベルトコンベアの長さを変更するにあたり、ベルトとフレームの長さを長くすることで対応可能です。
このとき、関連する部品の点数を増やさずにベルトコンベアの全長距離を長くできるので、長さあたりの伸長コストを安く抑えることができます。
ベルトコンベアの構造上の弱点
ベルトコンベアには、その構造上「蛇行」という弱点があります。ベルトコンベアの両端には、モーターの力をその回転によってベルトに伝える「プーリー」というパーツがあります。
このプーリーとの接地面が中央部分からずれたりすると、コンベア上をベルトがふらふら回る現象(蛇行)が発生するのです。蛇行現象に対しては、ベルトの調整や交換によって対応できますが、この調整作業にはベテランの技術が必要な場面が多く見られます。
ベルトコンベアの扱いに慣れていない人では対応できないケースも多く、へたにノウハウを持たない人がいじれば余計に状況が悪化する可能性が考えられるのです。
まとめ:ベルトコンベアは連続的に荷物を搬送するのに便利!
ベルトコンベアは連続的に荷物を搬送するのに便利な搬送装置であり、シンプル構造である点がさまざまなメリットをもたらします。一方で、構造上その調整が必要なトラブルが発生した場合にはベテランの技術による修繕が必要になるため、いざという時には扱いの難しいデリケートさを持ち合わせているといえます。
こうした搬送装置や設備・機械類は適切に扱うことで故障や不良リスクを抑えることができ、安全かつ低コスト(修繕コストがかからない分だけ)で効率の良い作業を実現します。設置やトラブルの発生時にはプロの意見をしっかりと聞き、不明な点や不安な点を残さないように注意しましょう。