ローラコンベヤは搬送工程の省力化にも寄与するため、多くの工場や倉庫で導入されている搬送システムのひとつです。しかし、ローラコンベヤを導入するに当たって、どのように選定すれば良いのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ローラコンベヤの種類や選定方法について詳しく解説します。最後にはローラコンベヤを製造するおすすめメーカーも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ローラコンベヤとは?
ローラコンベヤとは、荷物を一定方向に効率よく搬送できる搬送システムです。筒状のローラが回転することで搬送するため、フォークリフトなどで運搬するよりも安全かつ高速に搬送することが可能です。
なお、傾斜を付けることで搬送物を自走させることができるため、駆動させるための動力がいらないメリットもあります。一方で、上り傾斜の搬送が難しいため、設置する際のレイアウト設計が重要な一面もあります。
ローラコンベヤの種類
荷物を効率よく搬送するローラコンベヤには、動力を必要としない『フリーローラコンベヤ』と動力源が確保された『駆動ローラコンベヤ』の2種類が存在します。
そこでここからは、ローラコンベヤの種類について詳しく解説します。
フリーローラコンベヤ(グラビティコンベヤ)
ローラコンベヤのなかでも、もっともポピュラーなタイプが『フリーローラコンベヤ』です。別名、グラビティコンベヤとも呼ばれており、グラビティとは重力を意味することからも、自重を利用して搬送するローラコンベヤのことを指します。
通常のコンベヤとは違って動力源を確保する必要が無いため、初期の導入コストはもちろんのこと、メンテナンスコストも抑えられるメリットがあります。
駆動ローラコンベヤ
動力源がいらないフリーローラコンベヤに対し、駆動ローラコンベヤはその名の通り動力源を必要としているローラーコンベヤです。なお、動力源は主にモーターを利用することが一般的です。
駆動ローラコンベヤは、フリーローラコンベヤとは違ってモーターの動力を利用して荷物を搬送できるため、重量物も搬送できるメリットがあります。そのため、搬送工程における自動化ラインにも対応しています。
ローラコンベヤの選定方法
最適なローラコンベヤを選ぶ場合、以下の手順で選定します。
STEP1 搬送物を確認する
STEP2 ローラ強度と幅の選定
STEP3 ローラピッチの選定
STEP4 自走勾配の選定
STEP5 スタンドピッチとフレーム強度の選定
では、これらの各STEPについて詳しく解説します。
STEP1 搬送物を確認する
新たにローラコンベヤを導入する場合、以下の点について確認しましょう。
・運ぶ荷物は何か?
・設置環境はどうか?
・作業方法はどのようにするか?
搬送物の外形寸法(幅×奥行き×高さ)や材質、1個あたりの重量など、どのような物を運ぶのか確認しておきましょう。また、温度や湿度、ホコリなどが多い環境なのかなど、設置環境の状況も把握する必要があります。
その他にも、作業方法についても事前に確認しなければなりません。例えば、手でコンベヤに載せるのか、それともクレーンやフォークリフトを利用するのかなど、ローラーコンベヤの強度にも関わってくるため、想定できる作業環境はチェックする必要があります。
STEP2 ローラ強度と幅の選定
次にローラの一本あたりの強度を確認します。例えば、想定している搬送物の底面が柔らかい場合、搬送物1個あたりの重量の約二倍が必要になります。反対に、金属類の搬送物で底面が固い場合やホイストやクレーンで作業をする場合、搬送物の重要の約三倍程度は必要です。
概ねの強度を把握したら、次にローラ幅を選定しましょう。なお、ひとつの目安として、想定している搬送物の幅よりも50mm程度加えている幅がローラ幅になります。
STEP3 ローラピッチの選定
次に、設置するローラのピッチを選定します。ローラピッチを選定する際には、搬送物の長さを4つで割った程度の感覚にするのがひとつの目安です。
一般的な搬送物の例:搬送物の長さ÷4=ローラピッチ
ただし、搬送物が柔らかい場合、上記のピッチではローラに食い込んでしまう恐れがあるため、6つ程度で割ったピッチにして食い込みを防ぐ対策をしましょう。
柔らかい搬送物の例:搬送物の長さ÷6=ローラピッチ
STEP4 自走勾配の選定
動力を必要としないグラビティローラコンベヤ(フリーローラコンベヤ)の場合、自走勾配を選定しなければなりません。ただし、自走勾配は搬送物の種類や重量によっても変わるため、以下の表を参考にしてみましょう。
種類 | 重量 | 傾斜 |
プラスチック箱 | 1kg~3kg | 5cm/m |
10kg~30kg | 2.5cm/m | |
木箱 | 10kg~20kg | 3cm/m |
20kg~70kg | 2.5/m | |
木板 | 5kg | 3cm/m |
鉄板 | 300kg | 1.5cm/m |
STEP5 スタンドピッチとフレーム強度の選定
次に、スタンドピッチとフレーム強度を選定します。スタンドピッチについては、1,500mmから2,000mmに1脚が目安となります目安となります。
機長30mのスタンドピッチ取付例:30,000÷2,000=15(脚)
なお、フレーム強度についても合わせて確認しましょう。なお、フレーム強度は材質によっても変わるため、以下の表をひとつの参考にしてみましょう。
スタンドピッチ | ||
1.5m | 2m | |
スチール(60mmx30mmx 2.3t) | 400kg | 220kg |
アルミ(63mmx25mmx 3t) | 160kg | 90kg |
ステンレス(60mmx30mmx 2t) | 330kg | 170kg |
※許容曲げ対応力=1,000kg/c㎡、たわみ 1/500 を基準に算出
ローラコンベヤのメーカーも選定しよう!
ローラコンベアを導入することで、搬送効率の向上や省人化など、さまざまなメリットを得ることができます。より良い搬送ラインを構築するためにも、各種コンベヤを多く取り扱うメーカーを選定しましょう。
そこでここからは、コンベヤの製造・販売を手掛けるおすすめメーカーについて紹介します。
鈴木製機株式会社
鈴木製機株式会社は、ローラコンベヤやチェーンコンベヤなどを製造する物流機器メーカーです。販売されているコンベヤはパレット搬送を標準化しており、ローラやチェーン以外にもさまざまなタイプのコンベヤがラインアップされています。
ローラコンベアについては、回転ブレの少ないローラが使用されており、本体表面は硬く傷が付きにくい焼き付け塗装が施されています。また、センサーの取付がフリーポジションのため、荷姿の変更にも柔軟に対応しやすい構造となっています。
鈴木製機ではコンベヤ以外にも、上下階搬送が可能な垂直搬送機などの取扱もあるため、効果的な搬送ラインを構築したい方におすすめです。
マルヤス機械株式会社
マルヤス機械株式会社は、コンベヤを中心とした搬送ラインの販売を手掛けている物流機器メーカーです。マルヤスコンベヤシリーズとして、さまざまなタイプのコンベヤを発売しています。
なかでも、非接触駆動のマグネットドライブを用いたレスベヤシリーズは、磁力の吸引と反発を利用して搬送ローラを回転させるため、従来のベルト式と比べてロスの少ない駆動を実現しています。
株式会社メイキコウ
株式会社メイキコウは、コンベヤをはじめとするマテハン機器を製造・販売しているメーカーです。グラビティローラコンベヤやケース搬送コンベヤ、パレット搬送コンベヤなど、多彩なコンベヤシステムがラインナップされています。
動力の無いフリーコンベヤでは、約45種類にも及ぶローラと各種フレームを組み合わせることで、59種類もの機種ラインナップとなります。コンベヤを半世紀以上製造しているため、コンベヤ分野において信頼性が高いメーカーのひとつです。
まとめ
ローラコンベヤは、製造工場や物流センターなど、効率よく荷物や製品を搬送する際に採用されている搬送システムです。動力を必要としないフリーロラコンベヤや、モーターが動力となる駆動ローラコンベヤなど種類も豊富です。
ローラコンベヤを選定する際には、今回解説した5つのステップを参考に製品を選んでみましょう。なお、ローラコンベヤを製造するメーカーも非常に多いため、導入実績が多く信頼性の高いメーカーを選定するのがおすすめです。