搬送機器を導入することによって、作業効率や生産性が大幅に向上します。なお、搬送機器を製造するメーカーは国内にも多数存在するため、自社の使用用途や保守メンテナンス体制などを比較して導入を検討しましょう。
そこで今回は、搬送機器を製造する主要メーカーを厳選してご紹介します。また、搬送機器の基礎知識や種類も合わせて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
搬送機器とは
搬送機器とは、製品や原材料などを搬送するための自動化機器です。物流倉庫や製造工場など、非常に多くの場所で使用されており、庫内作業の省人化や生産性の向上を実現させるための役割があります。
大きくは物流倉庫などの搬送工程で使用される搬送機器と、生産ラインにおけるワークの移動や工程間の搬送目的として導入されているケースが一般的です。
搬送機器の種類
搬送機器には、導入する目的や使用用途に合わせて、さまざまな種類が存在しています。搬送機器の種類によっても製造するメーカーは異なってくるため、まずはどのような搬送機器があるのか確認する必要があります。
そこでここからは、代表的な搬送機器の種類を5つピックアップしてご紹介します。
搬送コンベヤ
搬送コンベヤとは、一定の方向に対して断続的に物を運搬するための搬送機器です。また、搬送コンベヤについては、JIS規格で「荷（運搬物又は搬送物）を連続的に運ぶ機械。」と定義されています。
なお、搬送コンベヤには以下のような種類が存在します。
・ベルトコンベヤ
・ローラーコンベヤ
・チェーンコンベヤ
・スクリューコンベヤ
・振動コンベヤ
・流体コンベヤ
ひとくちにコンベヤといっても非常に多くの種類が存在しており、用途に合わせて搬送できる製品や能力も変わってきますので、自社の導入目的を明確にして選定しましょう。
昇降装置
昇降装置とは、荷物や製品を垂直に移動させるための搬送設備のことです。具体的には、垂直搬送機や小荷物專用昇降機に簡易リフト、荷物用エレベーターなどの機械設備が該当します。
昇降装置は主に工場や倉庫などで導入されるケースが多く、昇降装置の種類によって搬送重量も変わりますが、基本的には階をまたいだ垂直搬送をする際に活用されている機械設備になります。
搬送ロボット
搬送ロボットとは、人に代わって荷物の搬送をおこなう自動化ロボットのことを指します。なお、具体的な一例としては、以下のような搬送ロボットが存在します。
・AGV（無人搬送車）
・AMR（自律走行搬送ロボット）
・GTP（自動棚搬送ロボット）
AGV（無人搬送車）とは、床面に設置された誘導テープに沿って目的地まで搬送するロボットです。主に工場や倉庫で荷物の運搬業務に用いられており、省人化を実現できる有効な方法として近年注目されています。
なお、AGVの場合は誘導体がなければ走行ができませんが、AMR（自律走行搬送ロボット）の場合は、その名の通り自律して走行できる搬送ロボットになるため、誘導体などを設置する必要もありません。
また、GTP（自動棚搬送ロボット）と呼ばれている搬送ロボットも存在します。このGTPは、商品が保管されている棚ごと搬送するロボットで、物流センターなどのピッキング作業効率化に用いられているケースが多い傾向にあります。
搬送機器を製造する主要メーカー8選！【2022年最新版】
搬送機器の種類が豊富なように、製造するメーカーも多種多様です。そのため、自社の環境にあった最適なメーカーを選定することが重要です。
そこでここからは、搬送機器を製造する代表的なメーカーについてご紹介しますので、ぜひ内容をチェックしてみてください。
鈴木製機
鈴木製機株式会社は、垂直搬送機や小荷物専用昇降機、コンベヤといった搬送機器を製造・販売しているメーカーです。建築基準法の適用を受けない垂直搬送機を販売しており、搬送物の内容や現場環境に合わせた製品を導入できます。
また、コンベヤについても、チェーンコンベヤ、ローラーコンベヤ、トラバースコンベヤ、直角移動コンベヤ、ステーションコンベヤ、入出庫台車、パレット段積ばらし機と、非常に多くの製品がラインナップされています。
その他にも「ポーリフトZERO」のシリーズとして、設備架台向けのリフターも揃えているため、使用環境に合わせて最適な製品を選別できます。
ワタベ産業
ワタベ産業株式会社は、垂直搬送機や昇降機、簡易リフトなどを販売しているメーカーです。既存施設への後付け設置も簡単な簡易リフト「ラックリフター」シリーズでは、家庭用電源で動作するタイプや、ピット不要で台車が使用できる低床タイプなど、製品ラインナップが豊富です。
その他にも、シンプル構造なユニット形式の垂直自動搬送装置や、台車を使った荷役作業も効率的に行なえるチェーンリフターなど、垂直搬送機や昇降機関連に強い製造メーカーです。
椿本チエイン
株式会社椿本チエインは、ソーターや粉粒体搬送コンベヤ、フロア搬送システムなど、搬送機器全般を取り扱う製造メーカーです。金属屑搬送に適したコンベヤや、製紙・新聞印刷工場向けのAGVなど、製品ラインナップの幅が非常に広いです。
なお、物流業界向けのソーターについては、搬送物に応じて仕分けが可能なソーターや、仕分け能力別に大量ソーターや中量ソーターなどがラインナップされています。
ダイフク
株式会社ダイフクは、物流システムやマテハン機器の世界トップシェアを誇るメーカーです。自動倉庫システムやAGVなどの無人搬送車、仕分けシステムなど、豊富な機器を取り揃えています。
なお、搬送機器では、スライドシュー式のソーターシステムや、自動倉庫と組み合わせて利用できる高速搬送台車など、自動化を実現できるシステムが幅広くラインナップされています。
マルヤス機械
マルヤス機械株式会社は、長野県岡谷市に本社を置くベルトコンベヤの製造販売を手掛けるメーカーです。「マルヤスコンベヤシリーズ」を展開しており、用途別にコンベヤの種類を選ぶことができます。
また、レズベヤシリーズでは、世界で初めてとなる磁力による吸引と反発を利用した、非接触駆動のマグネットドライブを搭載したコンベヤを発売するなど、未来型のコンベヤのラインナップもされています。
オークラ輸送機
オークラ輸送機株式会社では、コンベヤ機器や積付け設備、仕分け設備にAGV（自動搬送ロボット）、ピッキング設備など、物流業界向けのマテハンシステムを多く手掛けている製造メーカーです。
コンベヤについては、グラビティコンベヤから駆動コンベヤまで標準化を徹底しており、用途に合わせてシリーズ化されています。また、自動搬送システムのAGVは、非常にコンパクトなボディに多くの機能が搭載されているため、工程間搬送の省人化を実現できます。
ギークプラス
Geek+（ギークプラス）は、2015年に中国で創業したAI物流ロボットソリューションのプロバイダーです。自律型協働ロボット (AMR)や自動棚搬送ロボット（GTP）を販売しており、世界20カ国以上で10,000台を超える導入実績を誇っています。
国内でも大手物流企業で導入が進んでおり、自動搬送ロボットの分野においては、国内最大手の企業と言えます。また同社では、GTPのPシリーズロボットはピッキング精度も向上し、作業効率が3倍以上向上するとしています。
OTTO Motors
カナダの企業「Clearpath Robotics」社が展開している「OTTO Motors」は、自律走行搬送ロボット（AMR）の製造販売を手掛けるメーカーです。2017年には「ロボット企業トップ50社」に選ばれるなど、ロボット開発において信頼性の高いメーカーです。
可搬重量が異なる3つのモデルが展開されており、運搬する荷物の種類に合わせて選ぶことが可能です。また、アタッチメントの種類も豊富で、搬送現場の複雑性にかかわらず対応できるほか、利用環境に合わせた開発も可能です。
まとめ
今回解説したように、搬送機器の中にも非常に多くの種類があるため、利用する環境に応じて適した物を選ぶ必要があります。また、近年では物流業界や製造業界を中心に、搬送ロボットが多く導入されており、省人化を目的とした自動化の流れが進んでいます。
なお、製造メーカーによっても特色が違うため、各メーカーの強みを把握した上で比較検討しましょう。
