レストランや病院、学校に工場など、さまざまな場所で導入されている小荷物専用昇降機は、スムーズに上下搬送を行える設備機器です。なお、小荷物専用昇降機には種類があるため、導入前にはそれぞれの特徴を理解しておかなければなりません。
そこで本記事では、小荷物専用昇降機の種類を解説するとともに、一般的な価格相場についても紹介します。また、設置工事をする際の法規や製造メーカーも併せて解説しますので、導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
小荷物専用昇降機とは?
小荷物専用昇降機とは、別名「荷物用リフト」とも呼ばれており、小荷物を運搬する目的で設置される昇降設備機器です。人荷用のエレベーターとは違って「小荷物専用」になるため、人が乗ることはできません。
そのため、人荷用ほどの強度規定はなく、昇降路外における人の安全性のみを規定する内容となっています。また、建築基準法では「かごの床面積が1㎡以下、天井の高さが1.2m以下」と定められています。
小荷物専用昇降機の種類
小荷物専用昇降機は、大きく分けて「テーブルタイプ」と「フロアタイプ」に分けることができます。それぞれに特徴があり、上下搬送できる荷物も変わってくるため、事前に理解しておきましょう。
そこでここからは、小荷物専用昇降機の種類として、テーブルタイプとフロアタイプの中身について詳しく解説します。
テーブルタイプ
テーブルタイプは、ビルやホテルの小荷物運搬や学校やレストランの厨房用として利用されることが多いタイプの小荷物専用昇降機です。比較的小型の昇降機になるため、個人宅やオフィスなどでも使われています。
なお、テーブルタイプは、出し入れ口が床面から上がった場所にあるタイプになるため、人が立った状態でそのまま運搬するようなケースでも多く採用されています。
フロアタイプ
フロアタイプについては、病院や配送センター、工場に倉庫など、テーブルタイプに比べ大型の荷物を上下運搬する目的で多く採用されているタイプの小荷物専用昇降機です。多くの荷物を運搬できるため、テーブルタイプよりも積載重量が多い傾向にあります。
なお、テーブルタイプとは違って、出し入れ口の高さが床面と同じになるため、台車に荷物を載せたままカゴに乗せて運搬させることができます。
小荷物専用昇降機に関する建築基準法【確認申請・定期検査】
小荷物専用昇降機では、建築基準法における確認申請や定期検査をしなければならないケースがあります。ただし、設置する条件によっても内容が変わるため、導入を検討している小荷物専用昇降機が該当するか判断しなければなりません。
そこでここからは、より具体的な確認申請や定期検査の中身について詳しく解説します。
確認申請
建築基準法において、以下の昇降機を設置する際には確認申請が必要とされています。
・エレベーター
・エスカレーター
・小荷物専用昇降機のフロアタイプ
そのため、フロアタイプを導入しようとしている場合、確認申請をしなければならないことを理解しておきましょう。なお、テーブルタイプに該当する小荷物昇降機については、基本的に確認申請は必要ありません。
ただし、特定行政庁によっては、テーブルタイプでも確認申請が必要になることがあります。そのため、確認申請の有無については、特定行政庁に問い合わせをしなければなりません。
定期検査
建築基準法では、昇降機を設置した場合に定期検査の実施が定められています。おおむね半年から1年ごとに定期検査をする必要があり、検査には1級建築士か2級建築士、もしくは昇降機等検査員が行わなければなりません。
ただし、小荷物昇降機のテーブルタイプの場合については、確認検査と同様に特定行政庁によって対応が異なってきます。そのため、テーブルタイプを導入する場合に限っては、定期検査の有無を各特定行政庁に確認しましょう。
小荷物専用昇降機の価格相場
小荷物専用昇降機の場合、種類によっても価格に開きが出てきますが、一般的な相場は以下の通りです。
テーブルタイプ(積載30kg):約100万円~
フロアタイプ(積載200kg) :約400万円~
なお、積載重量によって価格が変わってしまう以外にも、設置条件によっても工事費用や事務手数料が変わるため、上記の価格帯は参考価格として認識してください。詳細の金額については、見積もりで確認しましょう。
小荷物専用昇降機の製造メーカー
小荷物専用昇降機を製造するメーカーは多数存在しているため、どこのメーカーにすればいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこでここからは、代表的な製造メーカーをピックアップしつつ、その特徴について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
鈴木製機株式会社
鈴木製機株式会社では、フロアタイプの小荷物専用昇降機を販売しているメーカーです。なお、鈴木製機の小荷物専用昇降機は「昇降路一体型のユニット式」となるため、床開口さえあれば設置が可能です。
建屋側で壁の施工をする必要がないため、設置が非常に簡単で工事費用を削減することができます。また、ステンレス仕様や防爆仕様など設置場所の特性やレイアウトに合わせて柔軟に設計できるのも、大きな特徴の一つです。
非常に安全性も高く、動作中の揺れも少ない小荷物専用昇降機になるため、柔軟性や安全性を重要視する方にもおすすめの製造メーカーです。
クマリフト株式会社
クマリフト株式会社は、さまざまなタイプの小荷物専用昇降機を製造販売しているメーカーです。規格型としてテーブルタイプやフロアタイプがラインナップされているほか、ユニットタイプやシャフトタイプなども発売されています。
また、空気清浄システムを採用した特殊仕様の「クリーンタイプ」や、家庭向きのユニットタイプもラインナップされています。
アイニチ株式会社
アイニチ株式会社は、リフトやエレベーター、小荷物専用昇降機など、昇降機の設計・製造・販売をしているメーカーです。なお、料理や書類を運ぶコンパクトタイプの小荷物専用昇降機として、テーブルタイプが販売されています。
東芝エレベータ株式会社
東芝エレベータ株式会社は、昇降機を専門に取り扱う東芝グループの企業です。小荷物専用昇降機としては、テーブルタイプやフロアタイプなど、用途に合わせたタイプがラインナップされています。
なお、小荷物専用昇降機には「カメラ・タッチパネル付ディスプレイ」が設置されており、操作性も非常に高いです。また、カラーバリエーションも豊富で、5色の中から選択することができます。
東芝グループの会社になるため、大手メーカーならではの信頼性を重要視される方にもおすすめです。
株式会社日立ビルシステム
株式会社日立ビルシステムは、小荷物専用昇降機をはじめとする昇降機の設計や開発・製造販売を行っている日立のグループ企業です。テーブルタイプとフロアタイプのいずれもラインナップされています。
基本仕様も充実しており、双方向通話が可能なハンズフリーインターホンや、搬送物の到着や積み込みすぎを知らせるオートアナウンス機能が、基本仕様で組み込まれています。大手ならではの導入事例の多さがあるため、導入実績を重要視される方にもおすすめです。
まとめ
小荷物専用昇降機は、スペースを有効活用して上下階運搬を実現できる昇降設備です。学校や病院、ホテルにレストラン、工場に倉庫と、非常に多くの場所で設置されており、安全かつ迅速に運搬作業するのに最適です。
なお、小荷物専用昇降機には、テーブルタイプとフロアタイプで分かれており、種類によっても価格相場に開きが出てきます。そのため、導入目的や設置環境に合わせて適切な種類を選ぶようにしましょう。