垂直搬送機や搬送コンベア、AGV、AMRなど、搬送工程における自動化設備は多く存在します。なかでも、垂直搬送機とAGVを連携させることで、多くのメリットがあることをご存じでしょうか。
本記事では、搬送工程における自動化設備の垂直搬送機とAGVを連携させて運用する場合のメリットについて詳しく解説します。なお、導入に当たりおすすめのメーカーも厳選してご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
垂直搬送機とAGVとは
そもそも垂直搬送機とAGVとは、どのような設備になるのか気になっているという方も多いのではないでしょうか。これらの設備は搬送工程を効率化させる上で大きな役割を持っている設備です。
そのため、ここからは搬送工程自動化における垂直搬送機とAGVの基礎知識を解説します。
垂直搬送機とは
垂直搬送機とは、その名の通り垂直方向に製品や荷物を搬送するための設備になります。搬送コンベアの場合、水平方向の荷物搬送を得意としている設備ですが、垂直搬送機は上下搬送を得意としている設備になります。
また、垂直搬送機は昇降路内に人が介入できない構造になっているため、一般的な昇降機よりも安全性が高く運用することができます。また、法律上の昇降機に分類されないことから、建築確認申請や法定点検などの規制も受けないメリットがあります。
そのため、垂直搬送機というのは、昇降機よりも導入コストや運用コストを抑えることができる設備になります。
以下の記事では、垂直搬送機の導入メリットや注意点について詳しく説明しております。
AGVとは
AGVとは、無人搬送車とも呼ばれている搬送ロボットの一種です。床面などに設置した誘導体を元に自動搬送が可能で、走行内に障害物があってもセンサーが感知して自動で停止することもできます。
同じような搬送設備に搬送コンベアなどが挙げられますが、AGVの場合、コンベアのように大型の設備を固定する必要がありません。そのため、比較的省スペースの環境でも運用できるほか、導入するためのコストもコンベアよりも安く済ませることができます。
なお、昨今では数百㎏から数トンにおよぶ重量まで対応しているタイプも存在するため、取り扱っている荷物や製品の種類に応じて最適なタイプを選定することができます。
以下の記事では、AGVについて詳しく説明しております。
AGV(無人搬送車)とは?基礎知識から導入メリット、メーカーまでご紹介
垂直搬送機とAGVを連携させるメリット
垂直搬送機とAGVを連携させるメリットは以下のとおりです。
・生産性が向上する
・事故や破損リスクの低減
・省人化によるコスト削減効果
・導入コストがエレベーターよりも安価
垂直搬送機とAGVを連携させる運用方法には、上記のように多くのメリットがあります。そのため、ここからは各種メリットの詳細について解説します。
生産性が向上をする
垂直搬送機とAGVを連携させて運用すると搬送効率が向上するため、総じて生産性も大幅に向上します。AGVは水平搬送を得意としており、省人化によって搬送効率を上げることができます。
また、垂直搬送機は上下搬送を得意としているため、水平搬送におけるAGVと連携すると大幅な搬送効率向上が期待できます。人間が行う荷物搬送よりも効率化が期待できるため、生産性は大幅に向上するでしょう。
事故や破損リスクの低減
人が荷物や製品の搬送を行う場合、接触による事故のリスクや製品の破損リスクが生じてしまいます。これらヒューマンエラーというのは、マニュアルを整備しても一定の確率で発生
する可能性があります。
一方で、垂直搬送機とAGVを組み合わせた運用方法であれば、搬送工程を自動化させることができます。そのため、人が介する運用形態よりも事故や荷物の破損リスクを低減できるため、作業環境の改善や業務品質も向上するメリットがあります。
省人化によるコスト削減効果
垂直搬送機とAGVを連携させることで、省人化によってコストを削減できる効果が期待できます。人が荷物の搬送を行う際には相応の人数を配置しなければならず、多くの人件費を要するでしょう。
一方で、垂直搬送機とAGVを連携させることで従来のように人員を配置する必要がなくなるため、省人化を実現させることができます。これにより人件費やスタッフの採用コスト、育成コストなども削減できるので、大幅なコスト削減効果が期待できるでしょう。
導入コストがエレベーターよりも安価
上下搬送を実現させるベーシックな方法の一つが、エレベーターなどを活用した方法です。しかし、エレベーターの場合、導入する環境の確保や設置コストも非常に高額になるデメリットがあります。
しかし、垂直搬送機を活用すれば、エレベーターよりも安価に導入することができます。確認申請や法定点検が不要になるほか、製品本体の価格もエレベーターよりも垂直搬送機なら
安価な特徴があります。
また、エレベーターの場合、AGVと連携させるためには複雑な処理が必要になるので、連携コストも多額になる傾向にあります。この点についても、垂直搬送機なら簡単な処理でAGVと連携できるので、連携コストも抑えることができるわけです。
そのため、なるべく費用を抑えて導入したいという場合、垂直搬送機を用いて連携させることをおすすめします。
垂直搬送機とAGVを提供しているおすすめメーカー
垂直搬送機とAGVを提供しているおすすめメーカーは以下のとおりです。
・鈴木製機株式会社
・株式会社ZMP
・株式会社ダイフク
・村田機械株式会社
・株式会社リコー
ここからは、垂直搬送機とAGVを提供しているおすすめメーカーの特徴について詳しく解説します。
鈴木製機株式会社
鈴木製機株式会社は、垂直搬送機を始めとする搬送設備を製造している専門メーカーです。垂直搬送機以外にも、小荷物専用昇降機や各種搬送コンベアを取り扱っており、搬送工程の自動化・省力化を得意としている特徴があります。
なかでも垂直搬送機の製品ラインナップは充実しており、軽荷重のタイプから重荷重のタイプまで幅広い製品が提供されています。そのため、自社の取り扱っている荷物や製品の種類に応じて最適なタイプの垂直搬送機を導入することができます。
また、点検やメンテナンスサービスも充実しているため、導入後も安定した稼働を実現させることができます。搬送設備には定評があり、AGVとの連携も多く行っている信頼性の高いメーカーといえます。
株式会社ZMP
株式会社ZMPとは、自律移動ロボットと導入サービスを提供しているメーカーです。AGVなどの製品ラインナップが豊富で、様々な大手メーカーに導入実績があるおすすめの販売メーカーです。
物流支援ロボットなどが提供されており、多くの物流センターに導入している特徴があります。ロボット開発を多く手掛けているベンチャー企業で、自動運転技術にも定評があります。
株式会社ダイフク
株式会社ダイフクは、マテリアルハンドリングが主力商品の大手メーカーです。多様な製品ラインナップがあり、搬送コンベヤや立体自動倉庫、ラックシステムなども取り扱っています。
無人搬送車(AGV)なども取り扱っているため、運用形態に合わせて導入することができます。なお、ダイフクはアフターサービスも充実しており、さまざまな保全の種類とサービスメニューが提供されているため、導入後も安心して稼働させることができます。
村田機械株式会社
村田機械株式会社は、ダイフクと同様にマテハン機器を主力商品として取り扱っている大手メーカーになります。フレキシブルな搬送を実現できるAGVの取り扱いもあるため、さまざまな環境に導入することができます。
なお、取り扱っているAGVは垂直搬送機以外にも、立体自動倉庫などと組み合わせて運用することもできます。全国に拠点を構えているメーカーなので、信頼性の高いメーカーをお探しの方にもおすすめです。
株式会社リコー
株式会社リコーは、さまざまなソリューションを展開しているメーカーです。産業向け製品も販売しており、AGV(無人搬送車)の取り扱いもあります。リコーのAGVは高精度なガイド方式を採用しており、精度の高い搬送を行うことができます。
また、省スペースでも運用できるコンパクト設計となっており、狭い場所でも走行することができます。工程間でシステム連携も可能なので、省人化を実現させたい場合におすすめなメーカーの一つです。
まとめ
上下搬送を得意としている設備の垂直搬送機と、水平搬送が得意なAGVを組み合わせて運用することで大幅な搬送効率向上が期待できます。また、自動搬送によって安全性も向上するため、人が運搬するよりも業務品質が向上するでしょう。
なお、多くのメーカーが存在するため、取り扱い品目やサービス内容、アフターメンテナンスなどを比較して最適なメーカーを選びましょう。